無視できない近未来の課題、ブロックチェーンの環境への影響

Mark Agnor / Shutterstock.com

◆環境問題に対するソリューションとは
 ビットコインなどの取引が多くの電力消費を伴う理由は、プルーフ・オブ・ワーク(Proof of Work:PoW)というモデルが採用されていることにある。PoWは、分散型のネットワークにおいて取引の合意形成を可能にするための仕組み。つまり、ビットコインをマイニングする際に、大量の計算によってパズルを解読する必要があり、結果としてコンピューターが大量の電力を必要とする。当然、ビットコインのマイナーが増えれば増えるほど、電力消費量は増加する。(テック・クランチ

 PoWは、不正を防ぐためにあえて非効率なプロセスを要求するようにデザインされているが、いくつかの代替プロセスも存在する。その一つが、プルーフ・オブ・ステーク(Proof of Stake:PoS)というモデルだ。PoSは、ワーク(計算)によってではなく、すでに保有している仮想通貨トークンの保有率(ステーク)によって、取引の権利を獲得することができる仕組みである。不正が発覚すれば、取引参加者はトークンを失う。PoSでは大量の計算を必要としないため、電力消費も抑えられるというのがメリットだ。イーサリアムは、現在のPoWからPoSに移行することを発表しているが、関係者すべての同意が得られなければ、移行は難しいというのが現状のようだ。

 ほかにも、電力消費を抑えるためのいくつかの方法がある。一つが既存のブロックチェーンの上にもう一つの階層を設け、ブロックチェーン外での取引を行う方法だ。たとえば、二者間でNFTの取引が行われる場合、必要な取引をすべてブロックチェーンの外で行い、すべて完了後にバンドル化された取引をブロックチェーン台帳に記録させる。この方法によってPoWが必要な取引が減ることで、電力消費を抑えることができる。さらには、取引に再生可能エネルギーを使用することで、環境負荷を下げるという提案もあるが、根本的な電力消費量が抑えられなければ、代替案としての価値は限定的だとされている。(The Verge

 大量の電力消費という課題をかかえるブロックチェーン技術だが、たとえば国連環境計画(United Nations Environment Programme:UNEP)の報告では、グローバルなサプライチェーンの透明性を高めることで、環境問題への取り組みにおけるガバナンスやアカウンタビリティを確保するというメリットが議論されている。また、ブロックチェーン技術を活用して、個人レベルでのサステナビリティの意識や環境問題への取り組みを、トークンとして資産化するという可能性もソリューションの一つとして提示されている。

 ブロックチェーン技術を活用した取引は今後さらに増加することが予測されるなか、マイナスとプラスの両面において、環境への影響は引き続き無視できない論点の一つとなりそうだ。

【関連記事】
銀行業に革命をもたらすブロックチェーンが直面する5つの壁
ブロックチェーン技術は世界の貧困層を救うか?
仮想通貨富豪の若者が流れ込むプエルトリコはクリプトユートピア?それともクリプトコロニアリズム?

おすすめの関連記事

仮想通貨の始め方を徹底解説!初心者が知っておきたい基礎知識と取引の方法

どの仮想通貨取引所・販売所を利用するべき?それぞれの特徴と選び方のコツ

仮想通貨投資は手数料に注意!仮想通貨の基礎からおすすめの取引所まで解説

dmmビットコインはアルトコインのレバレッジ取引が充実!ツールも使いやすく初心者にもおすすめ!

初心者にもベテランにも最適!暗号資産取引が手軽に始められるビットフライヤー

顧客満足度が高いgmoコイン!初心者にもおすすめの取引所の詳細を一挙紹介

大手企業ならではの使い勝手の良さが魅力!話題の楽天ウォレットとは?

暗号資産の「ユーザー間取引」や「レバレッジ取引」に興味がある人必見!暗号資産取引所ザイフの特徴を紹介

Text by MAKI NAKATA