新たに注目集める投資型クラウドファンディングの種類とサービスを比較

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 クラウドファンディングは自身が叶えたい夢や欲しい商品を開発するためにパトロンを募集するというところから始まり、著名人などにも多く活用されてきたことで一般的にも広く認知されてきているのではないでしょうか。社会的意義の高いプロダクトを開発したいという思いが支援者に伝播して、すぐに目標額を達成するプロジェクトも少なくありません。

 そして新たに資産運用としてのクラウドファンディングが注目を集めています。当初支援の対象は個人や個々のプロダクトなどに限られていたクラウドファンディングですが、金融商品取引法(以下「金商法」)を改正する法律が公布されたことを契機に(平成26年5月)、資産運用としてのクラウドファンディングである、「投資型クラウドファンディング」が活発化しました。

 投資型クラウドファンディングは社会的意義があり少額から投資が始められて、高い利回りが期待できる場合もあるという魅力があります。こちらの記事では投資型クラウドファンディング業者の特徴を比較して、新たに資産運用を検討している方に参考にしてもらえればと思います。

【関連記事】投資型クラウドファンディングとは?仕組みを理解しスマートに投資

1. 投資型クラウドファンディングの種類と他の投資商品との違い

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「株式型」「ファンド型」「融資型」の3つに分類
 3種類の投資型クラウドファンディングを簡単にまとめると以下のようになります。

・ファンド型の特徴:投資先プロジェクトの売上に応じて、分配金が支給されます。
・融資型(貸付型)の特徴:金利として毎月定期収入を得られ、中長期の資産運用先としても評価が高くなっています。ソーシャルレンディングとも呼ばれています。
・株式型の特徴:未上場の株式会社に投資します。殆どの場合貸付先が不明で元本割れの可能性も高くハイリスク・ハイリターンの投資といえます。

 上記の分類について、詳細は下記の記事にて紹介しております。こちらの記事もあわせてご参照されてみてはいかがでしょうか。
 【参照】投資型クラウドファンディングはさらに3種類に分けられる。それぞれの特徴とは?

 上記の他に、不動産事業を扱う不動産クラウドファンディングも巨大な投資形態になっています。融資型クラウドファンディングの仕組みを利用しているものも多く、不動産を担保にしているプロジェクトは信用も高くなっています。

株式型クラウドファンディングとベンチャーキャピタルの違いは?
 株式型クラウドファンディングは未上場の株式会社に投資するという意味で、ベンチャーキャピタルと似通っている部分があると感じる方も多いかもしれません。この2つを比較すると、株式型の特徴をはっきりと把握することができるでしょう。株式型クラウドファンディングは個人投資家が少額から投資ができますが、借り手との関わりは持ちません。匿名化された相手に対して投資を行うという点で、リスクが高いと見られることも多々あります。しかしその分リターンも大きくなる可能性も高く、またこの匿名化される仕組みを改善すべきという動きもあるため、将来的にこのリスクは軽減している可能性は高いのではないでしょうか。

 ベンチャーキャピタルは投資家が大型の投資を段階的に行い、借り手と戦略的な関わりを持ちます。ベンチャーキャピタルと比較すると、株式型クラウドファンディングは短時間で資金を集められる分調達額が少額になることが多いため、比較的短期間で数回調達する傾向があります。

融資型クラウドファンディングはFXや株式投資とどう違う?
 また、融資型クラウドファンディングとFXや一般的な株式投資との違いについても理解しておきましょう。FXは円と米ドルなどの通貨間の取引を指しており、為替レートの変動で利益が決定します。通貨ごとのスワップポイントなどで利益を追求することもあります。レバレッジ(手元の資金から数倍の金額で取引できること)をかけられることから倍々ゲーム的に利益を増やせる可能性があることがFXの最大のメリットですが、相場が変動するため大幅な損益から元本割れを引き起こすなど大きなリスクも伴うため、投資初心者にはハードルが高い投資方法です。
 
 株式投資は上場企業が投資対象になります。FXと同様に市場が変動するため、一定期間での利益を重視するのであれば日常的に株価を確認する必要があるでしょう。また長期投資の場合は対象銘柄の将来性や株主優待、配当なども考慮する必要があります。要すると、考慮すべきポイントが多いため運用コストが嵩みやすいです。
 
 融資型クラウドファンディングは事業者ごとにプロジェクトを保有しており、FXや株式投資と比較すると検討材料が限られています。現状では銘柄の研究と、それ以上に事業者自体への信用といったところが大きな検討要因となるでしょう。プロジェクトには為替や株価といった市場がないため、FXや株式投資のように価格を常に気にするといった必要はありません。報酬はプロジェクトが定める期間ごとの配当金を受け取る形になります。また、数万円単位の少額から投資可能なプロジェクトが多いのも特徴です。

比較した内容をまとめると、融資型クラウドファンディングはFXや株式投資のように大幅なハイリスクは取れない分リターンも事前に定められており、より手間なく資産運用を始められます。そうしたことから融資型クラウドファンディングはミドルリスク・ミドルリターンの投資と呼ばれる事も多いのです。

投資型クラウドファンディングの事業者を比較

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2. ファンド型クラウドファンディングの事業者

 ファンド型クラウドファンディングのリターンは金銭だけではなく、商品や出資するプロジェクトに基づいた特典、サービスが対象になることもあります。募集しているプロジェクトもバラエティに富んでおり、以下に紹介する事業者の中には国内初上陸のハンバーガーショップの開店資金を集めるなどといったユニークなものや、被災地支援や音楽祭開催支援など社会的意義を感じられるものもあります。

Funds

 ファンド型を含めた投資型クラウドファンディングの中で、このところ最も注目を集めているのはFundsではないでしょうか。投資型クラウドファンディングとしては異例なのが、Fundsは1円から出資が可能と投資を始められるという点です。またFundsは貸付事業を行う企業のみを出資対象にしているため信頼性が高く、またソーシャルレンディング事業社としては珍しくリコースローン(※)を採用しているなど投資家への配慮を徹底しています。2019年に開始したサービスのためプロジェクトの数がまだ少なく、投資家にかなりの人気があることからすぐ応募金額に到達してしまうのが難点ですが、将来性の豊かさとソーシャルレンディング投資家からの信頼を得ていることを反映しているとも言えるでしょう。

リコースローンとは:借り手の信用を基に融資を行い、返済の原資は借り手の全財産を借入れ金の返済責任を負う仕組みです。投資型クラウドファンディングの場合では、融資プロジェクトが予め想定していた利益を出せなかった場合でも投資家には利回りが支払われる仕組みです。ただし、借り手がデフォルトした場合は元本割れの可能性が発生することもありますので、Fundsが公式にアナウンスしている以下の内容を必ず参照してください。なお、殆どの投資型クラウドファンディング業者は融資の返済責務を限定的にする、ノンリコースローン方式を採っています。「ファンドのテーマ別の仕組み

Sony Bank GATE
 Sony Bank GATEはネット銀行のソニー銀行による投資型クラウドファンディングです。投資家を支援者、事業者を挑戦企業と言い換えて、投資を親しみやすくしています。まだプロジェクト自体は少数ですが、映画や飲食店のプロジェクトなどユニークなものが多いです。なお、Sony Bank GATEを利用するためにはソニー銀行の口座が必要となっています。

セキュリテ
 1口数万円と少額から出資可能で、経済的なリターンだけではなく地域や環境、復興など社会的な課題に対するプロジェクトが多いです。寄付型や購入型クラウドファンディングのように、経済的かつ社会的意義の高い投資ができるクラウドファンディングになります。

3. 融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)事業者

 融資型クラウドファンディングは資金需要者に投資という形で貸付する形態です。銀行の定期預金は超低金利が当然となっている現在、5%以上の高金利を見積る融資型クラウドファンディングは定期的な資産運用に向いています。そうした融資型クラウドファンディングを始めるにあたって注意しなければならないのは、投資先の企業が匿名化をしている点です。過去には投資先が匿名だったためにずさんなプロジェクトが乱発したため、金融庁では是正を目的とした動きを取り始めています(ソーシャルレンディングへの投資にあたってご注意ください)。

 部分的に投資先企業の匿名化を解除していく動きについて、各ソーシャルレンディング業者からも歓迎の声が上がってきています。健全なソーシャルレンディング業界を形成するためには必要なアクションだと考えられますし、今後もこうした是正は続くのではないでしょうか。一方で投資者としては常に投資リスクを認識していなければなりません。ソーシャルレンディングを始める際には分散投資をして投資リスクを下げるということを前提にしてください。

クラウドクレジット

 融資型クラウドファンディングを手がける事業者の中でも案件数が多く、1万円から投資ができるなど手軽に始めやすいのがクラウドクレジットです。ソーシャルレンディングの中でも高利率のファンドが多く、また海外の案件に特化しており、特に後発開発途上国への投資が多いため社会的意義が高い投資ができます。

SBIソーシャルレンディング

 SBIソーシャルレンディングはSBIグループが運営しており、融資型クラウドファンディングを取り扱う業者の中でもトップクラスの大手企業が母体になっています。大手金融機関となると信用性やコンプライアンスの厳しさなどが予測されますので、投資先を選ぶ上で重要な安心感を持てます。1万円から投資可能で利益が毎月分配されるので、資産運用の手始めとして取り掛かりやすいのではないでしょうか。

4. 株式投資型クラウドファンディング事業者

 株式投資型クラウドファンディングはハイリスク・ハイリターンの投資商材です。事業構想が優秀で今後大きな発展が見込まれるが、それを実現するための資金が足りない中小企業やベンチャー企業に対して支援を行うのが株式投資型クラウドファンディングの考え方です。IPOやM&Aが見込まれる未公開株を買い付けする仕組みは、投資額の数倍のリターンを得られる可能性を秘めている一方で、出資先企業の倒産などのリスクを鑑みる必要があります。全般的に投資リスクが高くリテラシーが求められるため、投資中級者以上を対象にしている会社も少なくありません。なお、一口10万円から出資可能なものが殆どで、同一の会社が発行する株式につき年間50万円以内を限度となっています。

FUNDINNO(ファンディーノ)

 日本クラウドキャピタル社が2015年に開始したのが日本初となる株式型クラウドファンディングのFUNDINNOです。FUNDINNOは投資先企業へのフォローアップが厚く、株主コミュニティという、投資家と出資先、仲介業者を繋げる動きも取っています。一口10万円程度からの出資が一般的ですが、稀に1万円から出資可能な案件もあります。

ユニコーン

 ユニコーンは2018年末に第一種少額電子募集取扱業者の認可を受けた新興の株式投資型クラウドファンディング仲介業者になります。まだ第一号のプロジェクトは開始されていませんが、2019年7月頃に第一号のプロジェクトが開始予定となっております。スタートアップ企業への投資を専門として、投資先の起業家にフルサポートを行ってIPOまで導くという事業モデルになります。2019年5月末には佐賀県との締結が発表されました。

5. まとめ

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 投資型クラウドファンディングはファンド型・融資型・株式投資型に3分類され、それぞれの投資で向き不向きがあります。例えばファンド型はプロジェクトの思いなどに共感して出資を決めるという側面が強いので、寄付型や購入型クラウドファンディングに似通った部分があります。一方で融資型クラウドファンデイング(ソーシャルレンディング)は基本的に融資先を明示しないため、かなり資産運用の側面が強いです。株式投資型はハイリスク・ハイリターンの投資商材で、投資に慣れた中上級者が取り組むのが良いのではないでしょうか。実績と知名度クラウドファンディングサイト運営会社を経由し、投資型クラウドファンディングを始めてみてはいかがでしょうか。

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Text by NewSphere 編集部