投資型クラウドファンディングと金融商品取引法の関係性について

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従来のクラウドファンディングは、「お金のリターンではなく、商品やサービスによるリターン」をモデルとする寄付型や購入型がメインストリームでした。しかし、非上場の未公開株を買付する株式型や、寄付型のモデルに金銭的リターンも得られるファンド型、プロジェクトや会社に貸し付ける融資型など、総じて「投資型」と呼ばれるクラウドファンディングが急速に普及しています。この記事では、広がりを見せている「投資型クラウドファンディング」の概要と、金融庁の法改正の今後について解説します。

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投資型クラウドファンディングとは?

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分配される金銭が投資家へ。投資型クラウドファンディングの分類

クラウドファンディングは大きく投資型と非投資型の2つに分類することが出来ます。冒頭で触れたように投資型は「株式型・ファンド型・貸付型」の3類型を指しています。一方で非投資型は「寄付型・購入型」を指しており、「金銭的なリターンがあるかないか」という点が大きな違いになります。もちろん、投資型は金銭的なリターンを期待した投資で、非投資型は金銭的なリターンを期待しない投資になります。投資先の業績によって分配金が大きく変動する可能性があり、元本割れの恐れもあります。

投資型クラウドファンディングが広がった背景には、起業しやすい環境づくりを目指したことがきっかけです。会社を起業したら、活動資金は銀行から融資を受けることが一般的です。しかし、銀行側としては過去に実績がない会社に対して、無条件的に融資することは難しくなってきています。この貸し渋りの背景にはバブル時の反省があり、銀行側としては不良債権になりうる案件まで手を広げづらい現況があります。そこで、銀行ではなく個人投資家が組成する投資ファンドからお金を借りられるようにしたのが投資型クラウドファンディングでした。

投資型クラウドファンディングは魅力的なプロジェクトと利回りであれば個人が投資を判断し、そうでなければ投資しないという、その都度検討できるシンプルな仕組みとなっています。実際の事業運営においても、企業側に任せられていることから制約もほとんど受けません。こうした点においては、ベンチャー企業と個人がWin-Winの関係を築ける投資手法と言えるでしょう。なお、株式型クラウドファンディングは個人投資家が株式を購入するモデルになり、プロジェクト単位で投資可否を決定することはできないので注意が必要です。

株式投資型クラウドファンディングによる資産運用

2014年にベンチャー企業を支援する目的として「改正金融商品取引法」が成立したことで、取引所に上場していない株である「未公開株」を購入する株式投資型クラウドファンディングが登場しました。未公開株は一度購入したらほぼ売却出来ない為、長い期間を見越した投資となります。順調に会社が成長して、株式上場という展開になれば未公開株が買い付け時の数倍の価値を発揮しますが、上場するまでは価値がなくそのまま未上場で終わってしまう場合もあります。そのためハイリスク・ハイリターンの投資方法と呼ばれています。

融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)による資産運用

資産運用目的の個人投資家から、融資が必要な企業に貸し付ける投資方法を指します。クラウドファンディングを用いて貸付を行い、その金利をクラウドファンディング運営会社と個人投資家に分配する仕組みです。出資した企業が返済を続けている限りは、定期的な収入を得ることが可能で、利率は銀行の定期預金などと比較しても高い傾向にあります。万一、出資先が倒産した場合には出資した金額が戻ってこないリスクがあります。

ファンド型クラウドファンディングによる資産運用

国内外のプロジェクトに対して投資を行うタイプを指します。事前に金利などは決まっていない場合がほとんどで、実際の売り上げから配当をリターンとして受け取る仕組みです。金銭的リターンを追求するよりも、社会貢献度が高い事業を応援したいという目的で投資する方が多いようです。多少のリスクを鑑みながら、プロジェクトを応援したいという気持ちがありながらも、一方で金銭的な利益も得たい方にはおすすめと言えます。

投資型クラウドファンディングに関する法規制

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金融商品としての投資型クラウドファンディング

冒頭に述べた2015年の法改正によって、「第一種少額電子募集取扱業」「第二種少額電子募集取扱業」という、新たな金融商品取引者が新設されています。「第一種少額電子募集取扱業者」は、最低資本金が5000万円以上ないと認可を受けられなかったところ、1,000万円以上で登録を受けられるようになりました。そして、兼業規制もなくなったことから他業種から容易に参入できるようになったことも大きな変更点になります。しかし、「電子募集取扱業者」と名付けられているように、投資家の募集から申し込みまでを、全てインターネット上で完結しなければならないと定められています。また、「第二種少額電子募集取扱業者」でも参入条件が緩和されました。

集団投資スキーム持分という金融商品取引法の規制対象となる

集団投資スキーム持分とは個人投資家から集めた資金による投資を行い、そこから生まれた収益を出資者に分配する仕組みのことです。投資型クラウドファンディングでは「ファンド型」に該当します。この法改正では、集団投資スキーム持分を扱う電子募集取扱業務について、「第二種少額電子募集取扱業務」として、500万円の最低資本金を用意することで登録が可能となりました。改正前の「第二種金融商品取引業者」では最低1,000万円の資本金を求められていたことを鑑みると、大幅に規制が緩和されたと言えるでしょう。

金融商品取引法に基づき第二種金融商品取引業への登録が必須

投資型クラウドファンディングにおいて、「融資型クラウドファンディング(ソーシャルレンディング)」「ファンド型クラウドファンディング」を取り扱う場合は、第二種金融商品取引業者の登録が必要です。株式型では第一種金融商品取引業者の登録が必須になります。金融庁の法改正により必要資本金額が大幅に引き下げられたことで、多くの企業が投資型クラウドファンディング事業に参入することが予想されていました。

投資型クラウドファンディングを活用したビジネスを活用し、「中小企業支援」として資金調達の役割を担ったり、「ふるさと投資」と題したご当地の産業に対してファンド形式で投資をすることも増えるでしょう。金融庁の法規制は、多くのリスクマネーが市場に流れることで日本経済を元気にしたいという考えが反映しています。

市場信頼性の担保、投資家の保護が次の焦点に

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参入ハードルが低下、市場が信頼できなくなった?

これまで紹介してきた法改正によって、投資型クラウドファンディングに新規参入する業者が相次ぎました。こうして市場へのリスクマネーは多く流入するようになったかというとそうともいかず、他の弊害が生まれてしまいました。

上記の「第二種金融商品取引業」に登録されていない業者が投資型クラウドファンディングと謳った事業を開始したり、あるいはこの認可を受けたものの信用力や運用力が十分ではない業者が参入し、不適切な取引を繰り返して行政指導を受けるといった事例が多発しました。金融商材において最も重要な要素である信頼が失われると、市場全体に疑いの目が向けられ投資家の投機意欲が低下してしまいます。元来は家計に向いていた個人資金を起業家を支援するリスクマネーへと変換するための施策だった金融庁による金融商品取引法の法改正が、結果的に市場の成長を妨げるような状態となってしまいました。

市場の信頼の回復に向け、鍵は透明性

金融庁としては市場の信頼を回復し、投資家の投機意欲を再び投資型クラウドファンディングへと戻さないといけなくなりました。そうした状況下で金融庁が重視したのは「投資案件の透明性の向上」です。これまでの投資型クラウドファンディングにおいて、借り手企業の情報開示は必須義務ではありませんでした。しかし投資家保護と市場の健全化を図るため、金融庁は借り手企業の情報を開示することに新たな見解を示しています。これによると、ソーシャルレンディングでは借り手企業の情報を開示が可能という見解を発表しました。「匿名化・複数化」が前提であったソーシャルレンディングにおいて、匿名化の解除は画期的な変更を示唆したものとなりました。

信頼性が低下する市場において、善良で健全な成長を図るソーシャルレンディング業者も投資家に借り手企業の情報を開示することに歓迎しています。特にクラウドクレジット社やFundsを運営するクラウドポート社も、こうした動きに好意的な反応を表明しています。

金融庁による金融商品取引法は、その法改正により投資型クラウドファンディング業者の間口を広げ、市場を拡大しました。その一方で投資型クラウドファンディング業者による相次ぐトラブルにより市場の信頼性が低下、投資家保護が目下の課題となっています。一度緩和に動いた法改正も、今後は法規制の流れに動いていくのでしょうか。投資型クラウドファンディングと金融商品取引法の関係性は、市場規模の拡大と投資家保護の両観点から今後も注目を集めていくでしょう。

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Text by NewSphere 編集部
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