世界の運用資産の25%を占めるESG投資とは?利益追及の先にある投資の広がり

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◆ESG投資が照らす投資の世界
 さて、ESG投資に話を戻そう。前述のGPIFは、ESG投資を採用するにあたり、それが持つとされる長期的なリスク調整後リターンの改善効果にも着目している。ESG投資は、持続的な金融システム構築の可能性をリターンの側面からも押し上げる投資手法であり、この点が昨今の投資家の流入を増やしている要因であると考えられる。持続的な広がりを見せるESG投資であるが、はたして、ESG投資は今の世界金融にとって、最善の投資手法と言えるのだろうか?

 答えは、YesでもありNoでもある。

 ESG投資の元となる責任投資原則が制定された2年後に、社会経済に大きなインパクトを与えたリーマン・ショックが起こった。600万人以上の雇用が失われ(筆者自身も、リーマン・ショックによって仕事がなくなった一人である)、数兆ドル規模の住宅資産が消えてしまった。特に、住宅価格は上がる一方だと信じ、投資をしていたアメリカのミドルクラスの人々にとっては、まさに天地がひっくり返るような出来事であっただろう。リーマン・ショックは、世界経済や金融に大きな影響を与えただけではなく、人々の考え方にも影響を与えた。「資本主義の追及ははたして前向きな経済成長を導くのか?」という視点が広まったのである。そして、各国首脳陣、JPモルガンやロックフェラー財団らを中心として、新しい投資の考え方が誕生した。これが経済的リターンも社会的リターンも両方追及していく、という「社会的インパクト投資」である。この投資については、次回の記事でご紹介したい。

 「金融は世界経済の原動力となっているものの、持続可能な発展の原則が、十分に反映されていない」これは、責任投資原則の作成を主導した故コフィ・アナン事務総長の言葉である。

                                                                                                                 

 世界や社会をいかに持続的に発展可能なものにしていくか。これは、まさに前回の記事ご紹介した「持続可能な開発目標SDGs」で打ち出している課題である。世界の金融システムでも、この課題を真摯に見直していく気運が高まっている。

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著者:原 佑理子(はら ゆりこ)
2006年慶応義塾大学総合政策学部卒業後、モルガン・スタンレー証券とニューバーガー・バーマンにて機関投資家向けヘッジファンド営業を担当。その後、国際協力の分野に転身し、UNICEFリベリア事務所、日本ユニセフ協会広報室、国際支援団体などで開発途上国における子どもの支援に携わる。2018年より、クラウドクレジット株式会社参画。パリ政治学院(Sciences Po)と東京大学大学院総合文化研究科で修士号取得。同大学院博士課程在籍中。

Text by Yuriko Hara