スイスでチョコレート闘争勃発 老舗の山型VS新参の波型、軍配はどちらに?

両ブランドとも標準量は100g。価格はトブラローネ(下)が約300円、スイスワン(上)は高級路線で約1200円(筆者撮影)

 トブラローネ側(モンデリーズ・インターナショナル)は、スイスワンが発売されてまもなく、形状と名前の2つの類似点からベルンで裁判を起こした。スイスワンは消費者に混乱を招き、トブラローネの評判を利用しているため、裁判にかけて販売を禁止しようとしたのだ。しかし2020年末、商事裁判所がこの訴えを却下したため、スイスワンは販売禁止には至らなかった。トブラローネ側は裁判の結果に不満だったものの、スイス連邦裁判所に上告はしなかった。スイスワンはその後も積極的に販売促進を行い、最近オランダでも販売を始めた。

◆21年末、2度目の裁判を起こした
 ところが事はそれでは済まなかった。2021年末、フリーペーパーの20ミヌーテンをはじめスイスの各紙はトブラローネ側が再びスイスワンを訴えたと報じた。スイスワン側も、再び訴えられたとフェイスブックで触れているが、今回の争点もチョコレートの形だ。

 トブラローネ側は依然として、トレードマークであるピラミッドのような形、または山のような形をスイスワンが真似たと解釈している。シュトゥーバー氏が真似していないといくら主張しても客観的に見てまったく新奇のアイデア品ではないため、アメリカの大企業が立腹しているのも納得できる。ただ個人的には、トブラローネと差別化しているスイスワンを販売禁止にする必要はないと思う。

 シュトゥーバー氏は、トブラローネ側がまた敗訴したら今度こそ連邦裁判所に上告するだろうと予想しており、裁判は長引く可能性がある。今度はどちらに軍配が上がるだろうか。裁判の行方が見ものだ。

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Text by 岩澤 里美