スイスでチョコレート闘争勃発 老舗の山型VS新参の波型、軍配はどちらに?

両ブランドとも標準量は100g。価格はトブラローネ(下)が約300円、スイスワン(上)は高級路線で約1200円(筆者撮影)

 スイスは男女ともチョコレートが好きで、国民1人当たりの消費量は日本の5倍の約10㎏。スイスは、ヨーロッパのなかでも「チョコレートをよく食べる国」だ。そんなチョコレート王国のスイスでは、高級品もコスパのよいチョコレートもよりどりみどり。常に新しいチョコレートブランドが誕生し、近隣ヨーロッパからの輸入チョコレートも売り上げを伸ばしている。

 日本でもお馴染みのリンツやほかの大手メーカーが優勢なため、スイスの多くのチョコレートブランドは、いかにファンを惹きつけ、増やしていくかに力を注いでいるはずだ。そんなチョコレート競争が静かに繰り広げられるなか、100年以上前から続く老舗チョコレートメーカーと2020年に登場した新参チョコレートブランドとの間で、法的な争いが生じている。

◆「山型の老舗チョコ」VS「波型の新参チョコ」
 名峰マッターホルンを彷彿させる山のフォーム、それにぴったり合わせた三角柱の黄色いパッケージが特徴の「トブラローネ」は、1908年にスイスの首都ベルンで考案された。現在はアメリカの巨大食品メーカー、モンデリーズ・インターナショナル傘下にあるが、製造は引き続きベルンで行っている。スイスではスーパーやデパート、ガソリンスタンドの併設ショップなど、どこにでも売っているお手頃なお菓子だ。約120ヶ国で販売され、日本ではオンラインで入手できる。

 風味や大きさはさまざまだが、元祖はミルクチョコレート風味。蜂蜜とアーモンドヌガーを混ぜてあり、歯に張り付くような食感だ。テオドール・トブラー氏といとこのエミール・バウマン氏は「ミルクチョコレートとヌガーを混ぜる」という当時としては画期的なアイデアを思いつき、2人で試作し、一晩で完成させた。翌年の春には、このレシピの特許を取得した。現在も、レシピは当時と変わっていないという。1994年には、ブランド名とパッケージに加え、チョコレートのフォームも特許を取得した。

Text by 岩澤 里美