スイスでチョコレート闘争勃発 老舗の山型VS新参の波型、軍配はどちらに?

両ブランドとも標準量は100g。価格はトブラローネ(下)が約300円、スイスワン(上)は高級路線で約1200円(筆者撮影)

 2020年夏、この長い歴史を誇る有名なトブラローネに真っ向から挑戦するような商品が登場した。ベルン出身のバーノン・シュトゥーバー氏(当時60歳)が立ち上げた「スイスワン」だ。高級カカオ豆とアーモンドのみ輸入し、スイスで製造している。スイスワンは、トブラローネと形状が似ている。盛り上がった部分を割って食べる点もそっくりだ。しかし風味は違う。スイスワンはカカオの含有量が多く砂糖が少なめだ。

 スイスの経済紙ハンデルスツァイトゥングによると、シュトゥーバー氏は「スイスワンは山ではなく、波や砂丘を連想させる形にした。シドニーのオペラハウスのようだと言う人もいる」と述べている。また、氏は別紙で「スイスワンは貝の形を真似た」とも述べている。とにかく、購入者に山ではない何かをイメージしてもらおうと意図した。

◆ブランド名も似ている
 スイスワンのパッケージは四角柱で、トブラローネのように山の絵も載せていないため、一見すると、2つの商品が似通っている印象を持たない人もいるだろう。

 とはいえ、パッケージをじっくり比較すると、名前が似ていると気が付くのではないだろうか。トブラローネはTOBLERONE、スイスワンはSWISSONEで語尾のONEが同じだ。スイスワンのSWISSとONEの2語もあえて詰めて表記している。シュトゥーバー氏は、SWISSとONEに隙間を入れなかったのは視覚効果を高めるためで、決してトブラローネを真似たのではないと主張している(同上)。

Text by 岩澤 里美