孤立深める韓国、どこへ向かうのか

Liv Oeian / Shutterstock.com

 新型コロナウイルスの感染拡大に加え、香港国家安全維持法や中印国境での衝突なども影響し、オーストラリアとインドがこれまでになく反中包囲網で米国に接近するなか、クアッド会議は、「中国をけん制するための多国間安全保障協力」の様相を呈している。これまでの米国を中心とするハブ・アンド・スポーク型の安全保障体制では中国の海洋覇権は止められないとの声も上がるなか、米国にはクアッド会議を軸としてインド太平洋地域で多国間安全保障協力を制度化したい狙いがある。

 しかし、米国の同盟国である韓国はクアッドに積極的に関与する姿勢を示していない。菅首相が10月18日からベトナムとインドネシアへの歴訪の旅に出発した。この歴訪の狙いは、クアッドに両国を絡めさせることにある。今後の韓国の対応が注目される。

◆切っても切れない中韓関係
 近年の米韓関係の悪化、そして韓国がクアッドに積極的に関与しない背景には中国の存在がある。8月下旬、中国の楊潔篪共産党政治局員が釜山で韓国の徐薫国家安保室長と会談し、新型コロナウイルスの問題が落ち着き次第、習近平国家主席の訪韓を調整することで一致した。また、香港国家安全維持法が6月に国連人権理事会で審議されたなか、米国の同盟国である日本やオーストラリア、ニュージーランドが不支持に回るなか、韓国はその是非の判断を棄権した。米中対立が深まるなか、韓国は日本以上に難しい舵取りを余儀なくされている。

次は 激減した韓国への修学旅行 高校生はなぜ韓国に行かなくなったのか




<関連記事>
韓国、犬食禁止を検討へ 市民の請願に大統領府「犬を家畜から外すよう法整備を」
韓国船の“瀬取り”容疑 米紙「韓国政府の制裁への姿勢が疑われる」
韓国地裁、金正恩氏に賠償命令 爆破で与正氏告発も 南北関係さらに悪化か

Text by 和田大樹