核ミサイル開発続ける北朝鮮、米大統領選をどう見るのか?

Evan Vucci, Korea Summit Press Pool via AP

◆核・ミサイル開発を続ける北朝鮮
 そして、国連安保理や国際原子力機関によると、北朝鮮は現在も核・ミサイル開発を続けているという。安保理の北朝鮮制裁委員会・専門家パネルは9月下旬、北朝鮮が3月以降新型コロナウイルス対策に伴って停止していた石炭の密輸出を再開し、瀬取りの手口で多くが中国などに運搬して違法に資金を入手し、弾道ミサイルに搭載できる小型化した核兵器の開発を進めていると明らかにした。国際原子力機関も同月上旬、北朝鮮が依然として一部の稼働施設で核開発を継続しているとの見解を示している。トランプ政権以降、北朝鮮は米国との首脳会談を重ね、核問題でも歩み寄る姿勢を示してきたが、2019年後半以降は大きな進展は見られない。

◆北朝鮮情勢はバイデン候補よりトランプ大統領の方が安心?
 では、不穏な動きを続ける北朝鮮だが、金正恩氏は実際来月の選挙をどうみているのだろうか。新型コロナウイルスに感染したトランプ米大統領に、「一日も早く治ることを心から願っている。あなたは必ず勝つ」とする労いの言葉を送った金正恩氏は、トランプ大統領の再選を望んでいるだろう。金正恩氏にとってトランプ大統領はアメリカの指導者として3回も会ってくれた大統領である。トランプ政権がさらに4年間続いてくれた方が、金正恩氏もさまざまな可能性が出てくると考えているはずだ。

 しかし、バイデン候補が勝利するならば、トランプ大統領のように興味も持ってくれず、会ってくれなくなり、金正恩氏としては大きな悩みの種が一つ増えることになる。バイデン候補はオバマ政権の継承を宣言しており、対北では基本的に「戦略的忍耐」に回帰する可能性が高い。要は、「北朝鮮が核・ミサイルで何かしら進展ある行動を自らとらない限りはこっちからは何もしない」というスタンスであり、バイデン候補が勝利した場合、これまでの不穏な流れを一気に加速させ、核開発の強化や弾道ミサイルの発射など瀬戸際外交を再び活発化させる可能性がある。

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Text by 和田大樹