アフリカにおけるグリーンボンドの可能性

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 さらにアフリカ政府による投資環境の改善も必要である。ケニアの事例を見てみると、国内のグリーンボンド市場開発のために必要な金融イノベーションを促進するために、2017年にケニア・グリーンボンド・プログラムを設立している。2020年にはグリーンボンド投資家が得る利子は源泉徴収税から控除する新たな法令が施行された(ロイター)。

◆真の環境改善効果に向けて
 急成長しているグリーンボンド市場だが、環境配慮をしているように装う「グリーンウォッシング」が世界的に問題視されていることも事実だ。グリーンボンドの透明性を改善するためには情報開示の向上、さらには国際的な共通基準などが必要とされている。

 先日出版されたIPCCレポートは、気候変動による影響がより早く現れ、より深刻だと結論づけた。さらに、気候変動の影響は「不平等に現れている」と指摘している。すでに脆弱な影響を受けやすいアフリカ諸国にとって、さらなる気候変動の影響が懸念される。

 残された時間がわずかとされる環境問題解決の一つの手立てとして、今後アフリカにおいて実際に環境改善効果のあるグリーンボンドの発行が促されることを期待したい。

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Text by 中川沙和