世界的に注目浴びる「ジェンダーレンズ投資」 投資によって女性活躍推進

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「ジェンダーレンズ投資」という言葉が2009年に生まれてから、その成長は近年著しい。米資産運用会社ヴェリス・ウェルス・パートナーによると、証券市場における「ジェンダーレンズ投資」関連の投資額は北米・欧州を中心に急成長を遂げており、2019年6月時点で34億ドル(約3500億円)に達している。2015年には10種しかなかった公的に入手可能な「ジェンダーレンズ投資」商品は50種以上にも拡大した。投資先もグローバル、米国の株式だけではなく、アジア、南米、アフリカのファンドも加わっている。

 一般的に「ジェンダーレンズ投資」とは環境や社会問題に配慮するESG(環境・社会・企業統治)投資、またはインパクト投資の一種で、金銭的リターンと社会インパクトを両方目指す投資戦略だ。顕著な成長の背景には世界的に男女格差、女性の社会進出問題の解決がなかなか進まない状況がある。

 そうしたなか、女性に投資することによって得られる経済的効果に着目し、投資によってジェンダー問題を解決しようとする動きが活発化していると言えよう。

◆女性の活躍推進による経済効果
 女性による社会進出や女性への投資によって得られる経済効果は、さまざまな研究によって明らかになっている。

 ひとつの経済効果例としては、スタートアップの売上高の向上が挙げられる。ボストンコンサルティンググループの調査によると、女性創業者または創業チームに女性がいるスタートアップは男性創業者のスタートアップと比べ、5年間の累計売上高が約10%以上高かった。また同調査では、女性創業者のスタートアップは投資先として優れていることも報告している。投資家による1ドルの投資に対して、女性創業者または創業チームに女性がいるスタートアップは78セント創出し、これに対して男性創業者が創出する31セントの倍以上である。さらに女性が経営幹部レベルに就く比率が高いことが、株主総利回りを約34%向上させるという研究もファーストカンパニーの記事で明らかになっている。
 
 しかしこのような明白な調査結果があるにもかかわらず、女性起業家に対する投資額は男性起業家に比べてきわめて少ない。米ベンチャーデータベース会社のクランチベースによると、2020年における女性創業者のみのスタートアップによる資金調達率はわずか2.3%で、2019年の2.8%を下回った。新型コロナウイルスの影響もあり、女性創業者のみのスタートアップへの投資総額も2020年12月半ばで49億ドル(5100億円)と、2019年の同時期に比べて27%も減少した。

Text by 中川沙和

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