前FBI副長官の解雇で浮かび上がる「FBIとロシア疑惑への攻撃作戦」

Federal Bureau of Investigation / flickr

 米連邦捜査局(FBI)のアンドリュー・マケイブ元副長官が3月16日、ジェフ・セッションズ米司法長官に解雇された。14日のニューヨーク・タイムズによると、その理由は司法省監察官の報告書で、同省の内部調査の際にマケイブ氏が「(情報提供に)協力的でない」と報告されたから、という曖昧なものだった。4月3日現在、監察官の報告書は公開されておらず、真相は定かではない。

◆年金「満額」の2日前 背後にトランプ大統領?
 NBCニュースの16日の報道によると、マケイブ氏はFBI勤続21年で、解雇は同氏が50歳の誕生日を迎えて年金受給資格を得られる2日前に行われた。

 マケイブ氏は以前よりツイッターなどでトランプ大統領から個人攻撃を受けていたことから、マケイブ氏解雇の裏にはトランプ大統領の意思があったという見方もある。実際、マケイブ氏が解雇後トランプ氏はツイッターで、「アンドリュー・マケイブが解雇された。FBIの働き者の職員たちにとって偉大な日、民主主義にとって偉大な日だ(後略)」と述べている。

 トランプ大統領は昨年5月、ジェームズ・コミー前FBI長官を直接解雇した。その後、コミー長官解雇がロシア共謀疑惑捜査妨害のためではないかという理由で、捜査のためにロバート・モラー特別検察官が起用されたことから、今回はマケイブ氏解雇を慎重に行った可能性もある。

◆「私だけでなくFBIに対する攻撃」
 一方CNNニュースの17日付記事によると、マケイブ氏は解雇後に声明を発表し、「私の信用に対する攻撃は私を個人的に中傷するだけでなく、FBI、警察、そして情報関係の職に就く人々を全般的に攻撃するものだ。これはこの(トランプ)政権の、FBIとそして現在も続いている特別検察官の捜査に対する闘争の一部だ」と述べた。

 マケイブ氏の声明が正しいとすると、トランプ大統領はマケイブ氏解雇後、今後はFBIで自分自身の捜査を行うモラー特別検察官に矛先を向けるものと予想される。共和党員であり信用の厚いモラー氏自身を攻撃するのが難しいことから、FBIを攻撃することにより捜査の信憑性を損ねようという魂胆なのだろう。

◆マケイブ氏解雇に真相は明かされるのか
 タイム(電子版)の17日付記事によると、マケイブ氏はその後、自分とトランプ大統領の会話の詳細を綴ったメモをモラー特別検察官に渡したという。今後、このメモをめぐり法廷などでマケイブ氏が証言を求められる可能性は高い。

 そんな可能性を見越してか、マケイブ氏は3月29日、クラウドファンディングサイト『gofundme』で弁護士など法廷費用を募るキャンペーンを開始。4月2日にキャンペーンを終了し、目標額の25万ドルを大きく上回る55万4520ドル(約5870万円)の資金を集めた。

 また3月21日には新展開として、NBCニュースなどが、マケイブ氏がセッションズ司法長官の偽証罪に関する捜査を許可していたと報道。司法省はセッションズ司法長官がマケイブ氏を解雇した際、この事実は知られていなかったと言うが、FBIも含む同省の「ボス」であるセッションズ氏の耳に入っていなかった可能性は信じがたい。

◆モラー氏、セッションズ司法長官を捜査対象に
 一方CBSニュースの30日付報道によると、モラー特別検察官は現在、セッションズ司法長官自身とセルゲイ・キスリャク前駐米ロシア大使も出席していた2016年の共和党全国大会に興味を持っているという。ロシア共謀疑惑の捜査が一層深部に入り込んでいく中で、米国では今後トランプ大統領がモラー特別検察官の解雇を狙うかどうかに注目が集まっている。

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Text by 川島 実佳