元寇の神風は吹いた? 湖底に眠っていた証拠が示すものは?

『蒙古襲来絵詞』後巻 | Wikimedia Commons

 チームはさらに長崎市宮崎町の川原大池を調査し、台風によって川から流入したと見られるチタンなどの成分が特定の地層に含まれていることを発見した。サンプルを放射性炭素年代測定にかけたところ、文永の役と弘安の役の年代に一致したという。これらを踏まえてウッドラフ氏は、「13世紀後半に強烈な氾濫があったというかなり強い証拠が得られた」と自信を見せている。

 もっともサイエンス誌の報じるところでは、調査チームはあくまで神が起こした風ではなく、「強めのエルニーニョ現象」だと冷静に捉えているようだ。また、放射性炭素年代測定には幅があるため、氾濫の発生年が二度の元寇の年にピタリと一致するかまでは断言できていない。

 とはいえ、伝説に過ぎないとさえ言われていた神風に、科学的裏付けが浮上したことは事実だ。歴史的ロマンはさらに深まりそうだ。

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Text by 青葉やまと