ソーシャルレンディングの市場規模|市場規模の歴史・背景を紹介

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 日本国内におけるスタートアップ・ベンチャー企業の資金調達手法として「ソーシャルレンディング」が大きな注目を集めています。2015年には金融庁の法改正があり、ソーシャルレンディング事業への参入条件が大きく緩和しました。それからリスクマネー市場の促進を目的に、市場規模も着実に大きくなっています。今回はソーシャルレンディングの概要から市場規模の分析、今までの国内ソーシャルレンディングの歴史から、アメリカでのソーシャルレンディングの現在地までを解説します。

1. 日本におけるソーシャルレンディングの市場規模とは?

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ソーシャルレンディングとは?元本が少なくとも始められる資産運用方法
 ソーシャルレンディングとは、企業が事業資金をインターネット上で調達する手法のことを指します。スタートアップ・ベンチャー企業が資金調達を行う場合、従来は銀行に問い合わせていました。しかし、「過去の取引実績がない」「創業年数が浅い」などの理由で、銀行側がリスクの高い融資案件と判断した場合、融資を受けられないケースは珍しくありませんでした。

 ソーシャルレンディング事業会社は「資金調達が出来ないスタートアップ・ベンチャー企業」を対象に、銀行よりも高い金利で資金を融資します。この金利分を、個人投資家と運営会社にそれぞれ分配する形で成り立っているのです。ソーシャルレンディングは、単価の安いもので1口1万円から投資が可能であり、少額資金からでも始められます。もちろん、安定的な資産運用を行うために分散投資は必須で、まずは少額からスタートして、要領が掴めてきたタイミングで投資額を増やしていくことがおすすめです。

年々増加傾向にある日本のソーシャルレンディング市場規模:推移・成長率
 日本におけるソーシャルレンディングの市場規模はどのように推移して来たのでしょうか。矢野経済研究所の発表している「国内クラウドファンディングの新規プロジェクト支援額(市場規模)推移」を参照すると、クラウドファンディングという大きな括りの中でソーシャルレンディングがかなり伸びている事がわかります。

 2017年度のクラウドファンディングにおける新規プロジェクト支援額はおおよそ1700億円ですが、ソーシャルレンディングがそのうち約90%を占めています。実に1500億円以上のリスクマネーが新たに投資されており、その成長率も年々増加傾向にあります。既に運用中の投資額を考慮に入れると、相当額がソーシャルレンディングで投資されていることが推定されます。その成長率によって、今後もさらなる市場規模の拡大が期待されています。

日本におけるソーシャルレンディングへの参入事業者の増加傾向と背景
 ソーシャルレンディング市場規模の拡大と比例するように、参入事業者数も増加し続けています。この市場規模拡大の裏で、各運営会社が独自の特徴を出すために、海外案件・再生エネルギー案件など種類も多様化しました。そうしたなかで、規模拡大の主流を担っているのは不動産投資型クラウドファンディングでしょう。不動産投資型クラウドファンディングはソーシャルレンディングに分類され、昨今の不動産投資が加熱する中で手軽に投資できる点が人気の根源となっているのでしょう。

 不動産特定共同事業法の改正により「小規模不特定共同事業」が新設されたことで、従来の必要だった「資本金1億円以上」という条件が、「資本金1,000万円以上」に引き下がりました。参入規制が緩和されたことも、不動産ソーシャルレンディングへの参入事業者拡大が市場規模の拡大に繋がっていると言えるでしょう。今後は再生エネルギー案件・海外案件の拡大と、ソーシャルレンディングが一般社会に認知されることでより多くの投資家が増加することも期待されます。

2. 【コラム】日本におけるソーシャルレンディングの歴史とは?

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 日本で初めてソーシャルレンディングがスタートしたのは、2008年10月まで遡ります。現在も業界トップクラスのソーシャルレンディング運営会社である「maneo」がサービスを提供したことを皮切りに、日本でも爆発的にソーシャルレンディング参入事業者が増加しました。2011年3月には、大手グループSBIグループに属する「SBIソーシャルレンディング」、2013年10月には「クラウドバンク」などの会社がソーシャルレンディング運営をスタートさせたのです。

 サービス開始当初は、企業に対する融資案件がほとんどを占めていましたが、再生エネルギー・海外案件・不動産など案件の種類も拡大。今後も、外資系企業やベンチャー企業が参入してくる市場であることは間違いないでしょう。

3. 日米比較:ソーシャルレンディングの市場規模の違いは?

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約3兆円にも達する。アメリカにおけるソーシャルレンディングの市場規模
 ソーシャルレンディング先進国とも言われているアメリカは、2015年に227億ドル(日本円:2億5千万円)に達していると言います。2017年に1,000億円を突破した日本と比較しても、その市場規模には2年前の時点で25倍もの差があります。数字だけで比較を行うと、大きな差に見えますが、日本はソーシャルレンディングの歴史がアメリカよりも浅いのも事実。日本での市場規模拡大の伸びしろは十分にあると見られています。欧米では取り入れられている個人間融資などのサービスも、日本でも将来的にサービスとして提供される可能性が十分にあるでしょう。
 
アメリカにおけるソーシャルレンディングの市場規模が伸びた背景
 アメリカでソーシャルレンディングが市場拡大している背景には、いくつかの理由が考えられています。

技術発展による信用情報の精緻化
 年々のたゆまぬ技術革新により、安価になった計算資源が利用できることになったことから、ソーシャルレンディングサービスで用いられる信用審査が低コスト化しているといわれています。ソーシャルレンディングによって融資を受ける企業の信用や格付けといったものは、融資する側としては相当に精緻な計算を求められるのでしょう。特に海外案件となると情報も高度化・複雑化するものです。そうした投資を成功させるためには、技術の発展が不可欠だったし、今後も加速度的に発展する技術の適応なしに市場拡大はなしえないでしょう。

リーマンショックでの経験から厳しくなった銀行融資
 2008年に発生したリーマン・ブラザーズの破綻。これまでは低所得層に対しても住宅ローン「サブプライムローン」を、金融商品に混ぜながら大量に販売。しかし、不動産価格が下がると、ローンを滞納する人が激増。莫大な損失を抱えたまま、リーマン・ブラザーズは破綻したのです。この出来事を契機に、金融機関が行き過ぎた貸付を行わない機運が拡大しています。銀行以外で資金調達を行いたい企業と、スタートアップのIT企業が借手の信用審査を、低コストで提供できる基盤が広がったことで、ソーシャルレンディングは爆発的に広まったのです。

 なお、日本のバブル崩壊でも同様に不良債権が大量に発生し、それまでの審査基準を大幅に引き上げたことからリスクマネーが出回りにくくなっている現状があります。時期が異なるので簡単な比較なおは出来ませんが、リスクマネーを創出する必要性があるという点では日米がともに抱える社会課題と言えるのではないでしょうか。

銀行を利用しない・出来ない人たちの拡大
 アメリカにおいては、新しくアメリカの土地に定着した移民層やクレジットカードが持てない若年層など、銀行口座を持たない世帯が多く存在しています。このような銀行サービスにアクセスできない資金需要者も多い社会的背景から、ソーシャルレンディングが形成される一因になっているのです。というのも、アメリカでは個人間融資であるP2P(peer to peer)レンディングがスタンダード化しており、ソーシャルレンディングの融資先が中小企業であることが一般的な日本よりも、ソーシャルレンディングが消費者に定着しやすかったとも言えるでしょう。

 様々な要因から今後も市場規模の拡大が期待されるソーシャルレンディング。この展開期にあなたもソーシャルレンディングを始めてみてはいかがでしょうか。

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Text by NewSphere 編集部