映画が伝えなかったフレディ・マーキュリー 猫、セクシャリティ、最愛の人

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◆元恋人への変わらぬ愛 死後もスターらしいフレディの選択
 ヴァニティ・フェア誌によれば、フレディは亡くなる前のインタビューで、すべての財産をメアリーと猫たちに譲ると述べていたが(注:実際は家族や友人にも遺産を分けている)、彼の人生において最も大切な人物はメアリーであったことに間違いはない。

 恋人という関係が終わっても、ゲイのフレディと元カノであるメアリーの、傍から見れば奇妙だが親密な関係は続いた。メアリーはツアーに同行するなど、常にファミリーの一員としてフレディの人生に関わり、彼女こそがフレディの生き様と成功の過程を間近で見続けた人物と言える。「メアリーは唯一の友達。他の誰もいらない。自分にとって彼女は内縁の妻だ。結婚と同じだ」とフレディはメアリーに語りかけたという(Biography.com)。もっともメアリー自身は別の男性と結婚し、男の子ふたりをもうけている。

 フレディは自分がHIVに感染していることをメアリーに告げ、晩年は彼女をそばに置くようにしたという。メアリーは彼の死も看取っており、フレディの推定7,500万ドル(約85億円)の遺産の半分を相続している。フレディが残したロンドンの28部屋ある豪邸で、彼が選んだ家具や調度品に囲まれて今でも暮らしている(Biography.com)。ちなみにアイリッシュ・サン紙によれば、ジムには50万ポンド(7,250万円)が遺言で渡された。

 生前フレディは、自分が死んだ後、遺灰を自分が望む場所に運び、その場所は誰にも教えないでほしいとメアリーに伝えていた。彼女はその約束を守り、遺灰を2年間自宅に保管した後、指定された場所に移したという(Biography.com)。メアリー以外は誰も知らない場所で、静かに眠るフレディ。さながら映画のような、フレディらしいエンディングといえよう。

Text by 山川 真智子