映画が伝えなかったフレディ・マーキュリー 猫、セクシャリティ、最愛の人

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◆パートナーは男性 フレディを支え自らもHIVに感染
 フレディはバイセクシャルだとされているが、人生の後半はゲイだったようだ。クイーン結成前の1969年に、メアリー・オースティンと出逢い同棲を始めた。メアリーに求婚したこともあったフレディだが、1976年に自分がバイセクシャルだとメアリーに告白。このときメアリーは「あなたはゲイだと思う」と伝え、これを機に二人の肉体的な関係と同棲は終わったという(Biograpy.com)。

 クイーンとフレディの伝記を執筆したこともあるマーク・ブレーク氏が、フレディはどこから見てもゲイだったと述べるように(ヴァニティ・フェア)、その後は男性と付き合うようになる。1980年代に入り、フレディはアイルランド人で美容師だったジム・ハットンと知り合う。映画では、フレディの自宅でジムがパーティの後片付けをしていた際に出会っているが、実際の初対面はロンドンのゲイバーだった。フレディの豪邸で2人の同居が始まるが、フレディの浮気や夜遊びが激しく、関係は不安定だったという(アイリッシュ・サン紙)。

 ジムはフレディが1991年にエイズでなくなるまで7年間、パートナーとして公の場に出ることなくともに暮らした。フレディは1987年にHIV陽性の診断を受けたが、ジムを含め信頼できる数人にしかその事実を伝えていない。関係を終わらせてもいいと告白されたジムは、献身的にフレディを支え続けた。1990年にジム本人もHIV感染と診断されたが、フレディには1年間伝えられなかったという。2010年に死去したが、死因は肺がんでエイズではない(デジタル誌Irish Central)。

Text by 山川 真智子