株式型クラウドファンディング、期待される「資金調達の民主化」 日本でも活発に

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 起業や社会活動の資金調達の手段として定着しつつあるクラウドファンディング。インターネットを通じて不特定多数の個人に資金提供を呼びかける手法だ。その中で、昨年スタートした「株式投資型クラウドファンディング」が最近活発な動きを見せている。先月、仲介サービス運営会社3社が集めた資金総額が、事業開始後1年で10億円を突破。株式投資型クラウドファンディングで創業資金を募ったベンチャーが、募集開始からたった4分30 秒で上限応募額5,000万円を集める事例もあった。

◆個人が起業を柔軟に後押しできるシステム
 株式投資型クラウドファンディングは、個人がベンチャー企業の株式を購入する形で期待する事業を応援・投資するシステム。投資者は、将来的に株式の売却益からリターンを得る可能性を得る。国内では3年前に解禁され、アメリカ、イギリスなどにやや遅れて昨年から3社が仲介サービスに乗り出した。個人が事業の将来性に期待して少額で投資できるシステムであるため、柔軟かつ機動的な資金調達法だと言われている。また、見返りに製品やサービスが提供される従来の「購入型」や金利を受け取る「融資型」のクラウドファンディングに比べ、事業の成長しだいでリターンが変わるハイリスク・ハイリターンなシステムだとも言えよう。

 クラウドファンディングで資金を集めるのは、いずれも非上場のベンチャー企業だが、従来は個人が非上場企業の株を購入することが事実上できず、ベンチャーキャピタルにその役割がほぼ限られていた。それが、株式投資型クラウドファンディングの解禁により、誰でもインターネットを通じて少額で創業を応援できるようになった。

 無名の起業家にとっては、特に大きなブレイクスルーだと言えるだろう。過去最速で上限応募額5,000万円を集めたのも、15歳で起業した経歴を持つ若手実業家だった。車内ディスプレイに表示される広告収入で運営する運賃無料タクシー事業の資金募集に対し、目標募集額の1,600万円を開始後52秒であっさり突破。さらに上限応募額5,000万円に4分30秒で到達した。

◆米では女性やマイノリティの起業家が台頭
 アメリカでは、1年早く株式投資型クラウドファンディングが始まっており、既に広く普及している。フォーブス誌は、特に女性やマイノリティの起業家の活動の幅を広げるシステムとして着目する記事を掲載している。

 筆者の女性起業家、アマンダ・グリーンベルグ氏は、株式投資型クラウドファンディングを「ファンドレイジングの民主化」を推し進めるものだと捉えている。これまでアメリカでは、投資家はベンチャーキャピタルの「アイビーリーグ出身の白人男性」にほぼ独占されていたとグリーンベルグ氏は指摘。投資先もその写し鏡のようなシリコンバレーのIT系企業に偏っており、同氏が運営する調査会社の調べでは、2017年のベンチャーキャピタルの投資先の79%が男性だけの創業チームで、女性だけのチームは2%に過ぎなかった。

 一方、ニューヨークに拠点を置く株式投資型クラウドファンディング仲介サービス会社「リパブリック」が先日発表したレポートでは、同社を介した投資先の25%が有色人種(黒人・ヒスパニック)が創業した企業で、44%が女性の創業者を含む企業だった。これに対し、伝統的なベンチャーキャピタルによる投資は前者が1%、後者が13%だったという。リパブリック社のキャロライン・ホフマン氏は、「既存のシステムは、シリコンバレーの投資家やスタンフォード大学の卒業生とつながりのない創業家にとって、基本的にアンフェアだ」と指摘する。

◆上場などの実績が普及の鍵か
 一方で、アメリカでも日本でも、株式投資型クラウドファンディングにはデメリットもある。まず、1社に対する年間投資額が制限されている(日本の場合は50万円)。ホフマン氏は、上限の緩和を今後のさらなる「ファンドレイジングの民主化」推進の鍵に挙げる。

 また、投資先は必然的に非上場企業となり、取得した株式は上場株のように自由に売却できない。つまり、将来的に投資先が上場しなければ、リターンが得られないということだ。アメリカでは、既に株式投資型クラウドファンディングで得た資金で成長した企業がM&Aにより上場した例があるが、日本ではまだ実績がない。

 日本は、欧米に比べて創業資金が圧倒的に少なく、起業家には厳しい環境だと言われる。株式投資型クラウドファンディングは、それを変える可能性を秘めていると期待されている。普及のためには、株式売却によるリターンの実績の積み重ねが必要となろう。そのためには、システムを利用した企業の今後の成長が不可欠だ。

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Text by 内村 浩介