世界のヘッジファンド、オミクロン巡る不透明感で11月は運用不調
[トロント 3日 ロイター] – 新型コロナウイルスの新たな変異株「オミクロン株」出現による金融市場の動揺を受け、世界のヘッジファンドの運用成績が11月に、コロナ流行当初以来の落ち込みを記録したことが明らかになった。
ヘッジファンド業界の調査会社ピボタルパスの暫定集計によると、同月の運用成績は推定マイナス1.6─2%となり、2020年3月以来のマイナス幅となった。
米ヘッジファンド・リサーチによると、ヘッジファンドは1─10月に平均でプラス11.4%の運用リターンを上げていたが、11月はこれまでの堅調な流れが一転した。
ヘッジファンドに投資するキャピタル・ジェネレーション・パートナーズのロバート・シアーズ最高投資責任者(CIO)は損失は「かなり広範囲だ」と指摘。運用成績が小幅にプラスだったファンドは「少し」あるが、「総じてマイナス」と述べた。
11月は米連邦準備理事会(FRB)の政策を巡る不透明感も強まったため、債券、為替、株式のボラティリティーが高まった。
株式市場に特化したヘッジファンドの一部は市場の乱高下に意表を突かれ、空売りしていた銘柄の予想外の反発で損失を出した。
仏リクソー・アセット・マネジメントのシニアストラテジスト、ジャン・バティスト・ベルトン氏によると、欧州と米国のロング・ショート戦略のヘッジファンドは11月25日─12月1日に運用成績が約1.5━2%のマイナスとなったという。
シアーズ氏によると、一部のヘッジファンドはモデルナの下落に賭けていたが、同株は11月18─30日に30%急騰した。
一方、ベルトン氏によると、トレンド追随型ファンドの運用成績は11月25─12月1日にマイナス4─5%となり、マクロ型ファンドも主に債券の持ち高により運用成績が2%近く落ち込んだ。
同氏は、12月の見通しについて、一部のヘッジファンドは年初からのプラスのリターンを死守するためにリスクを避ける可能性が高いと予想した。