「権威主義」と「民主主義」の対立、それぞれの国の思いとは

会談に臨むバイデン米大統領と中国の習近平国家主席(15日)|Doug Mills / The New York Times via AP

◆アメリカは今何を考えるか
 そして、両国と対峙する民主主義国家のアメリカは今の状況をどう考えているだろうか。今日、アメリカが最も避けたいのは東欧、中東、東アジアで同時に3正面の紛争が先鋭化することだ。すでにウクライナとイスラエルで戦争状態となるなか、アメリカとしては中国との間で対立がエスカレートすることを避けたい。最近の米中会談でも、双方が歩み寄れるところでは歩み寄った背景にもそれがある。

 そして、アメリカの国力が相対的に低下するなか、アメリカとしてはウクライナやイスラエルの問題に関与はするが、実際に兵力を送るなどして戦争の当事者になることはしない。これはアメリカの本音であり、要は以前のようにほかの地域で勃発する戦争に深入りする余裕はなく、紛争への関与も戦略的に練っていかなければならないとアメリカは考えている。これは、権威主義国家ロシア、中国との対立、競争を継続していく上で、アメリカにとっては重要な選択肢ということだ。

Text by 本田英寿