中国・習近平氏はなぜG20欠席を決断したのか?

インドのモディ首相(左)、中国の習国家主席(2016年10月)|Anupam Nath / AP Photo

◆途上国外交を重視、先進国外交を軽視
 一方、習国家主席は8月下旬に南アフリカで開催された第15回BRICS首脳会議には出席し、南アフリカのラマポーザ大統領らと相次いで会談し、各国と政治や経済の分野で協力を強化していくことで合意した。近年、習国家主席は途上国との関係強化を優先し、アメリカや日本など先進国との関係には重点を置いていない。今日の中国はもう「アメリカとの関係改善は見込めず、対立相手として共存していくしかない。しかし大国中国として存在してくためには第三諸国との関係を重視していく必要がある」との思いがあるのだろう。

 今後のポイントはアメリカの対中姿勢である。ここでアメリカが中国に歩み寄るような態度を示せば、それは中国を利することになる。アメリカも自らが譲歩する形で中国に接近するリスクは承知しているとみられ、今後も「合わない米中関係」が続いていくことだろう。

Text by 本田英寿