日本への認識を変える中国

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◆先端半導体が中国の対日認識を変える?
 そして、昨今激化する先端半導体をめぐる覇権競争も、それに拍車をかけている。バイデン政権が昨年秋に先端半導体に関する対中姿勢を強化し、今年になって日本やオランダに同調を求めたなか、日本は7月に先端半導体の製造装置など23品目で対中輸出規制を実行に移した。軍の近代化を押し進める中国としては、先端半導体を獲得する必要があるが、日本が中国の最も嫌がることに同調したことから、中国の日本への政治的不満はさらに高まっている。中国は今月から日本の海産物の輸入規制を開始したが、これも半導体製造装置の輸出規制への報復的な措置と考えられている。

 今日の台湾と半導体をめぐる攻防は、明らかに中国側の対日認識を変化させている。中国は今、「日本よ、アメリカとの対立や競争に自ら首を突っ込むな」「日本との関係は維持したいが、中国の核心的利益に触れるならばやむを得ない」と思っているに違いない。

Text by 本田英寿