中東で高まる中国の存在感

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 昨年、中国の習国家主席がサウジアラビアを訪問した際、その待遇はVIP待遇そのもので、ムハンマド皇太子は習国家主席を精一杯もてなし、さまざまな分野での経済協力を進めていくことで一致した。最近もアメリカのブリンケン国務長官が焦ってサウジアラビアを訪問した背景には、間違いなく中東で影響力を強める中国への警戒感がある。

◆イランが中国主導の多国間機構に正式に加盟
 一方、中国やロシアが主導する上海協力機構は7月初めに会合を開き、これまで準加盟国だったイランを正式に加盟国とする決定を下した。上海協力機構は中国やロシアのほか、インドや中央アジア諸国が加盟し、近年は欧米への対抗勢力という位置づけが強い。

 今回、上海協力機構に初めて中東の国が加わり、イランとサウジアラビアが外交関係を復活させたことから、今後はサウジアラビアの同機構への接近にいっそう拍車がかかることだろう。このままの情勢で時間が経過するのであれば、中国の中東での影響力はいっそう強まり、冒頭の中国支持の声もさらに増えるだろう。

Text by 本田英寿