アフガニスタンで中国を狙ったテロが増加 その背景とは

カブールでの爆発後に警備にあたるタリバンの戦闘員(1月1日)|Ebrahim Noroozi / AP Photo

 今日の国際情勢は、ロシアによるウクライナ侵攻や緊張が高まる台湾情勢など国家間問題に注目が集まっている。しかし、一昨年夏、米軍が撤退し、イスラム主義勢力タリバンが実権を再び握ったアフガニスタンでは、女性や子供の人権が侵害されるだけでなく、タリバンが依然としてアルカイダなどテロ組織と関係を保つなどしている。国際社会の関心に隠れるなかで同国が再びテロの温床になることへの懸念も根強い。

◆アフガニスタンで見られる中国を狙ったテロ
 そのようななか、最近アフガニスタンではアメリカではなく中国を狙ったテロが見られる。12月12日、首都カブールにある中国人が多く利用するホテルを狙った襲撃事件があり、医療機関の発表によると3人が死亡、20人以上が負傷した。死亡した3人はいずれも襲撃犯たちで、中国外務省によると中国人5人が負傷したという。事件後、アフガニスタンで活動するイスラム国(IS)支持組織「ISホラサン州」が犯行声明を出し、中国人客が集まるパーティー会場を狙って爆発物を爆発させたとして、中国権益を狙った意図を明らかにした。

 また、今年になっても1月11日、カブールにある外務省の入り口付近で自爆テロが発生し、少なくとも5人が死亡。ISホラサン州はこの事件でも犯行声明を出した。声明で中国を名指ししたわけではなかったが、多くのメディアは外務省を訪問予定だった中国代表団を狙った可能性を指摘している。

Text by 本田英寿