アフガニスタンで中国を狙ったテロが増加 その背景とは

カブールでの爆発後に警備にあたるタリバンの戦闘員(1月1日)|Ebrahim Noroozi / AP Photo

 ISホラサン州が中国を標的にする背景には、タリバンと良好な関係を保ち、アフガニスタンへの政治経済的関与を進める中国への反発があると思われる。ISホラサン州はタリバンと強い敵対関係にあり、テロを繰り返すことでタリバン政権が治安的に機能していないことを内外にアピールする狙いもあるだろう。同時に、国内の社会経済情勢が依然として深刻ななか、外国から来た者がアフガニスタンに眠る貴重な天然資源をお金で取ろうとすることへの怒りがある。

◆対中テロがいっそう増える恐れ
 今後この種のテロが増えるかもしれない。アフガニスタンで鉱山開発を展開する中国の産銅会社である江西銅業は2021年9月、首都カブールから南東40キロメートルの地点にあるメス・アイナク地区の銅鉱山について開発を進めていく方針を明らかにした。また、タリバンは今年に入り、同国北部にある油田の開発で中国企業と大規模な契約を締結すると明らかにした。アフガニスタンには1兆ドルとも言われる地下資源が眠っているとされる。今後、中国の経済的関与はいっそう強くなると思われる。しかし、ISホラサン州がそれを許すはずはなく、中国の関与が強まれば強まるほど、中国権益を狙ったテロが増加する可能性が高いと言えるだろう。

Text by 本田英寿