2022年の国際テロ情勢 懸念すべき国際社会の関心低下

テロを警戒してパトロールする警察(ジャカルタ、21年3月29日)|Wulandari Wulandari / Shutterstock.com

 一方、改善に向かうこともないだろう。米軍がアフガニスタンから撤退するなどバイデン政権はテロとの戦いからの脱皮を進めている。大規模なテロが起きない限り、これが逆行する可能性はない。フランスもサヘル地域からプレゼンスを薄める方向であり、主要国の関与がなくなりつつある。アフガニスタンやサヘル諸国は自分たちだけでイスラム過激派に対処できる能力はないので、各地のテロ情勢が改善する兆しはない。

◆国際テロ情勢を悪化させる要因は国際社会の無関心
 しかし、可能性は低いとしても情勢が大幅に悪化する可能性がないわけではない。国連のテロ専門機関や米政府高官などもたびたび今後のアフガニスタン情勢について懸念を示しており、その動向を中長期的に追っていく必要がある。テロ情勢を悪化させる要因は多くあるが、筆者は主要国の関心を薄め、関与を低下させることを懸念している。国際政治は再び国家対国家の時代に回帰しており、現在は新型コロナの影響もあり、主要各国ともマンパワー的に限界がある。それによってテロへの関与が薄まるのは必然的な流れかもしれないが、テロの温床が9.11やイスラム国の台頭を招いたという教訓を国際社会は忘れるべきではないだろう。

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Text by 和田大樹