今日のテロ情勢をどう見るか、企業に求められる2つの視点

ダッカ・レストラン襲撃人質テロ事件(2016年7月)|Sk Hasan Ali / Shutterstock.com

 アフガニスタンのタリバンが実権を奪還してから2ヶ月が経つが、依然として予断を許さない状況が続いている。政権を運営するタリバンとしても国際社会からの支援は必要なので、女性の人権改善やテロ組織との関係断絶など諸外国の要求に応じようとする姿勢も示している。しかし、国際社会とタリバンの考え方には大きな違いがあるだけでなく、アルカイダなどテロ組織と関係を断つことは決して簡単ではないのが実状だ。

 一方、海外に展開する日本企業からすれば、アフガニスタンに展開することはほぼないことから、対岸の火事のように映る。しかし、いまアフガニスタンが抱えるテロの問題は決して国内に留まるものではなく、グローバルリスクの視点から考える必要がある。以下、昨今の情勢から企業に求められることを2つ列挙したい。

◆イスラム国のケースからの教訓
 現在でも、世界各地にはアルカイダやイスラム国を支持する組織、信奉者たちが存在する。タリバンの政権奪還をイスラム過激派の勝利として称え、支持者たちが士気を高める恐れがあると指摘する声もある。在外邦人の安全保護の視点から我々は、2014年6月のイスラム国の台頭以降、各地にイスラム国系組織や過激派分子が台頭し、結果的にチュニジアやバングラデシュ、スリランカで邦人が犠牲となるテロが発生したことを忘れるべきではない。テロ情勢のなかで、今回のタリバンの実権奪還は大きな分岐点になったことは間違いなく、今後はそれがイスラム国の台頭のような事象になるかを危機管理の視点から注視していく必要がある。

Text by 和田大樹