懸念されるアフリカのテロ情勢 越境して勢力拡大するイスラム過激派

特殊部隊演習Flintlockに参加するマリの兵士(2019年2月)|US Africa Command / flickr

 今年夏にアフガニスタンでタリバンが実権を奪還して以降、同国ではイスラム国ホラサン州によるテロが首都カブールを中心に各地で相次いでいる。イスラム国ホラサン州によるテロ事件は2020年は60件あまりだったが、今年はすでに300件を超えており、来年の情勢が非常に懸念される。この情勢は日本でも比較的多く報道されているが、グローバルな視点で昨今のテロ情勢を注視すると、懸念される地域はもう一つある。それはサヘル以南のアフリカだ。

◆北部からの越境テロを懸念するコートジボワール
 アフリカ西部でギニア湾に面するコートジボワールは、マリやブルキナファソと北部で国境を接している。同国は「大サハラのイスラム国(ISGS)」や「イスラム・ムスリムの支援集団(JNIM)」など、イスラム国やアルカイダを支持するイスラム過激派が南下し、国内でテロ活動を活発化させることを警戒している。

 日本のメディアではほぼ報じられないが、ここ数年それらのイスラム過激派がたびたび越境しており、昨年7月には北部の町カフォロを襲撃して兵士14人を殺害した。コートジボワール政府は越境テロを防ぐため兵士を北部の国境地帯に優先的に配備しているが、今日でも警戒が続いている。しかし、専門家の間では、コートジボワール政府は軍事的な対策に重点を置くばかりで、貧困問題などに十分に対処しておらず根本的な解決に繋がっていないと懸念されている。イスラム過激派は豊富な金銭で北部に住む若者たちをリクルートしているとみられる。

Text by 和田大樹