アングロサクソン諸国が北京五輪「外交的ボイコット」表明 どこまで広がるか

Ng Han Guan / AP Photo

 モリソン政権は香港国家安全維持法の施行や新型コロナの真相解明などで中国に不信感を強め、中国はオーストラリア産の牛肉やワインの輸入制限を講じるなどしている。英国は今年のG7の首脳会合や外相会合に韓国やオーストラリア、インド、そしてASEAN諸国を招待。TPP加入申請や空母派遣などでインド太平洋に関与・接近し、中国をけん制する姿勢を鮮明にしている。カナダも3月に米国と英国とともにウイグル人権問題を理由に中国関係者への制裁を発動し、10月には米軍とともにカナダ軍が台湾海峡を航行した。これら3ヶ国と中国の関係は近年急速に悪化している。

 また、これら3ヶ国は米国と同じアングロサクソン系英語圏で、政治的、軍事的な情報を共有する同盟「ファイブアイズ(米国、英国、豪州、カナダ、ニュージーランド)」を構成する国々だ。どうなるかわからないが、ニュージーランドがそれに加わる可能性もあるだろう。

◆外交ボイコットはどこまで拡大するか
 伝統的な国際政治を眺めてくると、米国が大きな決断をした場合、最も深い同盟ともいわれる米英同盟から英国が続き、カナダやオーストラリアのアングロサクソン系英語圏国家が追随することはかなり予測がつくことだろう。しかし、新型コロナなどによって中国への不信感が国際社会で広がるなか、今後はフランスやドイツなどほかの主要国がどのような方針を示すかがポイントになる。リトアニアなどのバルト三国、ポーランドやチェコなどの東欧諸国も昨今中国離れを強めているが、目下の国際情勢に照らし、どこまでこの動きが広がるか注目してみていく必要があるだろう。

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Text by 和田大樹