中国が4日以内に尖閣奪取……米シンクタンクが描くシナリオ、8フェーズ

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 新型コロナウイルスの感染源国「中国」と最大被害国「米国」との非難合戦、香港の国家安全法など、最近、米中関係がさらにワンフェーズ悪化したと感じられる。中国の外相も「米国は中国との関係を新冷戦に持ち込もうとしている」と発言するなど、今後の行方が懸念される。

 そして、現在、コロナ危機による失業者の増大、黒人男性殺害に端を発する全米での抗議デモによって、トランプ大統領の再選が危ぶまれ、バイデン候補勝利との見方が高まっている。中国は、こういった「内から混乱する米国」の姿を注視し、政治的な隙を突いた行動にいっそう出てくるかもしれない。

◆中国による尖閣奪取シナリオ
 このような状況のなか、米国にあるシンクタンク「戦略予算評価センター(CSBA)」は5月、「Dragon Against the Sun: Chinese Views of Japanese Seapower」と題する論文を発表した。執筆したのは、CSBAのシニアフェローのToshi Yoshihara氏で、筆者も以前勤務していた研究機関で同氏の論文を多く分析したものだ。同論文では、中国が海軍力において優越感を高めると、より攻撃的な戦略を打ち出し、それによって日米同盟の機能性が制限され、アジアがより不安定になると警告している。そして、本論文の71ページから72ページにかけては、中国が4日以内に尖閣諸島を奪取する強行シナリオが具体的に描かれている。そのシナリオは次のようになっている。

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Text by 和田大樹