一帯一路の債務、返済できない国続出 新型コロナで中国の計画に暗雲

Lintao Zhang / AP

◆不景気で需要減 損失覚悟がなければ計画は頓挫
 クライン氏は、コロナウイルスが広がるなか、感染の隠蔽、低品質の医療用具の輸出、ウイルスの起源に関する陰謀論などで、途上国の中国への信頼は失われていると指摘する。開発援助のアプローチは変わる必要があり、資源を搾取し自国企業のビジネスを開拓するのではなく、他国にとっての長期的なステークホルダーとして行動すべきだとする。中国が債務国の利益になる革新的な方法を見つけることができなければ、世界中からの反発は避けられず、政治・経済関係の亀裂は修復困難になるほど広がるとしている(SCMP)。

 米シンクタンク、外交政策研究所の上級研究員、フェリックス・K・チャン氏は、コロナ危機が長引くほど経済回復は遅れるとし、「一帯一路」もその犠牲になるだろうと述べる。世界の需要は落ち込み、以前の状態にすぐに戻るはずはないため、債務国の経済は悪化する。新型コロナで世界経済が弱体化することを考えれば、中国は「一帯一路」前進のために、より財政的コストを負担しなければならなくなると同氏は指摘。融資の支払いを遅らせるより、融資そのものの見直しや免除も必要になるだろう。通常の貿易ルートを「一帯一路」ルートに方向転換させることも必要かもしれない。さらに、自国の輸入障壁を取り除くことで需要を作り、参加国の輸出を促すなどの対策も必要だとしている。

 もっとも、中国は自国が損失を被ることはめったにしないため、こういった措置は困難だろうと同氏は述べる。融資のリスクとコストを受け入れない限り、習主席が夢見る中国を中心とする新しい世界の経済秩序構築には、さらに時間を要するだろうとしている。

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Text by 山川 真智子

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