なぜトイレットペーパー? 世界各地で買い占め パニック時の消費者心理とは

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 新型コロナウイルスの脅威が高まるにつれ、海外でも買い占めの傾向が顕著になっている。なかでもパニックの象徴となっているのがトイレットペーパー不足だ。ウイルスが直接的な原因となり不足することはないとわかりつつ、人々はなぜトイレットペーパーを買い溜めしてしまうのか。海外の心理学者たちは、複数の人間心理を指摘する。

♦︎精神の安定を求めて
 トイレットペーパーをめぐる混乱は先日から国内で顕著だが、海外でも同じ傾向になっている。英BBCは豪シドニーの状況として、4パックまでの購入数制限が発動していると報じている。オーストラリアではトイレットペーパーをめぐる乱闘騒ぎが起き、この様子を収めた動画がSNSで広く拡散された。香港では輸送中のトイレットペーパーを狙った強盗が発生している。購入制限はアメリカとイギリスのスーパーでも導入されており、もはやトイレットペーパー不足は日本だけの問題ではなくなってきている。

 ほかにも衛生用品などが不足し始めているが、人々が一斉に買い溜めに動いたのはなぜだろうか? 購買行動には精神を安定させる作用がある、と指摘するのは米放送局のCNBCだ。記事はロンドン芸術大学で消費者心理を研究するポール・マースデン氏の見解を引き、商品を購入することで人々は3つの基本的欲求を満たすことができると解説している。

 1点目は自立性であり、これは行動と意思決定の自由とも言い換えることができる。ウイルスの拡散という想定外の状況において、人々は状況をコントロールできないことにフラストレーションを感じている。自らの意思で商品を購入すれば、状況を制御していると実感することができ、人間の基礎的欲求を満足することができるというわけだ。

 2点目は周囲との関係性だ。買い溜めするまわりの人々に同調することは、社会と行動をともにしているという安心感につながる。

 3点目は有能感であり、物資を入手することで賢い消費者になったかのような感覚が生まれるという。善悪は別として、買い占めは人間の本能に導かれた行動だと言えそうだ。

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Text by 青葉やまと

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