WHOと中国の裏に何が? 不自然な中国「配慮」に、各所から疑問の声 新型肺炎

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 新型コロナウイルス感染拡大を阻止するため、中国は都市封鎖や国民の徹底した監視を行い、ウイルス封じ込めを成功させつつある。世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長は、中国のいまだかつてない大胆な策は各国の手本になるものだと褒めたたえているが、中国へのあからさまな配慮が感じられる態度に疑問の声が出ている。

◆中国を絶賛、WHO事務局長として適切?
 WHOは1948年に創設された国連の専門機関だ。すべての人に最高レベルの健康をもたらすことを目標とし、世界における伝染病の管理や根絶、健康管理能力の向上に力を注いできた。これまでアウトブレイクの起こった感染症をコントロールしてきたように、新型コロナ対応でもリーダーシップを発揮することが求められている。

 ところが、今回のWHOの新型コロナ対応には中国の多大な影響があるのではないかと国際的な批判が出ている。テドロス氏は中国に過剰なほどの賛辞を送ったのとは対照的に、各国の感染防止対策を批判。さらに中国への渡航制限は不要だとし、アウトブレイクの「逆襲と政治化」に対して警鐘を鳴らした。

非営利の外交シンクタンク、外交問題評議会の研究員、マイケル・コリンズ氏は、こういったWHOの中国びいきは義務の放棄ではないかと述べている。ジョージタウン大学のローレンス・ゴスティン教授も、過度な中国賛美によって、権力に対しても物申す信頼できる科学的権威としてのWHOの評判が長期的に傷つけられることを懸念するとBBCに述べている。

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Text by 山川 真智子