WHOと中国の裏に何が? 不自然な中国「配慮」に、各所から疑問の声 新型肺炎

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◆中国配慮の典型例 台湾加盟を許さず
 コリンズ氏は、WHOにおける中国の影響は、台湾に対する扱いからも明らかだと述べる。1971年に中国がWHOに加盟後、WHOは一つの中国を理由に台湾の会員資格を阻止してきたが、世界的な健康危機のいま、台湾を排除するのは問題だと同氏は述べる。台湾は加盟国ではないため、WHOから直接情報はもらえない。新型ウイルスの感染はこれまで32件しかないのに、中国本土と一緒にされ、数ヶ国から渡航規制の対象にされるということも起きた。

 WHOの世界保健総会で台湾の加盟を求める他国の提案は、2016年以来毎回アジェンダから外されているという。中国の台湾外しは、ほかの国際機関でも行われているが、世界への影響は通常あまりない。しかし、健康はすべての政府を同等につなげて情報を与えることで、効果的な国際的対応ができる分野だとCNNは述べ、WHOの対応に疑問を呈している。

◆金はモノを言う 頼るべきはもはやアメリカではない
 テドロス事務局長が中国を擁護し続けるのは、2017年の事務局長選で中国の協力を得て当選したこともあるとコリンズ氏は見ているが、中国のWHOへの拠出金の増加も理由だと述べる。WHOには各国から分担金のほかに、任意拠出金が支払われており、近年予算不足を補うため、任意拠出金に頼る傾向にあるという。

 アメリカに比べれば、中国からWHOに流れる資金はまだまだ少ないが、アメリカのリーダーシップが低下するなか、中国の貢献は増え続けており、将来的にはWHOにとってより頼れるパートナーになりそうだとしている。

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Text by 山川 真智子