一帯一路の債務、返済できない国続出 新型コロナで中国の計画に暗雲

Lintao Zhang / AP

◆イメージ悪化必至 取り立てに悩む中国
 クライン氏は貧しい国がコロナ危機への対処で苦労すれば、債務不履行となる可能性は高いと指摘する。返済が滞り、中国に港湾施設の権利を差し出したスリランカの例をあげ、もしも中国が債務国の担保を差し押さえることがあれば、中国は公衆衛生危機で暴利をむさぼる国だと世界から見られることになると述べている(SCMP)。

 RWRアドバイザリーのアンドリュー・ダベンポート氏も、「一帯一路」はあくまでも善行と見られることが中国の勝利の方程式で、「略奪的経済行為」を促進させたと見られることに中国政府は敏感だと述べている(FT)。

 そもそも「一帯一路」においては、IMFや世界銀行の厳しい借り入れ基準を嫌った国々が融資を受けており、高い金利や担保を受け入れている事実もある。そういった意味では借り手側にも責任があるといえるが、「債務の罠」を仕掛けているという西側諸国からの批判には耐えられず、中国は「一帯一路」の透明性を高め、融資の基準を厳格化することを約束している。

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Text by 山川 真智子