豪に新たな米海兵隊施設か 中国企業貸与で問題になったダーウィンの近郊

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◆中国への港貸与で苦い経験 いわくつきのダーウィン
 ダーウィンがあるノーザンテリトリー州は、2015年に港の一部を中国企業、嵐橋集団の子会社、ランドブリッジ・インフラストラクチャー社に99年間貸与する契約を結び、これがもとで地元、豪、米を巻き込んだ大騒動に発展した。

 ガーディアン紙によれば、当時アダム・ジルズ州首相にとって、ダーウィン港を貸し出すことは連邦政府への挑戦だった。港の施設アップグレードのために連邦政府に補助金を申請したが14回連続で断られ、同首相は政府に頼らず開発を進めようと考えた。そこで嵐橋集団に売り込みをかけ、予想を超える5億600万豪ドル(約377億円)で合意にこぎつけた。

 アジア・タイムズによれば、この契約は、豪外国投資審査委員会、国防省、豪保安情報機構の承認を得ていたと報じられていた。しかし、ダーウィン港が戦略的重要拠点で、しばしば米海軍の戦艦が寄稿することなどから、当時のオバマ大統領と政府高官は中国企業への貸与に唖然としたという。

 防衛専門家からも、米軍艦への中国のスパイ行為や妨害工作の拠点になるとの批判が噴出。米政府もまったく相談がなかったことに怒りを表し、その後豪政府は外国投資法を速やかに変更してしまった。もっとも当時叫ばれた中国脅威論も、親米軍タカ派によって盛られ過ぎだったようで、しばらくして落ち着いたということだ(ガーディアン紙)。

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Text by 山川 真智子