豪に新たな米海兵隊施設か 中国企業貸与で問題になったダーウィンの近郊

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 オーストラリア北部のダーウィンで、米海兵隊が使用する新たな港湾施設建設計画があることを豪公共放送ABCが報じた。台頭する中国を念頭に置き、インド太平洋地域から手を引かないというアメリカの決意の表れだと見られている。実はダーウィン港の一部は、99年間の契約で中国企業に貸与されている。契約締結後には豪米政府を巻き込む騒動となっており、再度メディアの注目を浴びている。

◆地域の覇権は渡さない アメリカ動く
 豪ABCは、今回のニュースは政府関係者から得た秘密の計画だとしており、ダーウィンから北東40キロにあるグライド・ポイントに、新施設が建設されると報じている。実現すれば、大型揚陸艦なども収容できるが、軍事基地ではなく、商業港として開発されるという。

 ダーウィンには、2012年から米海兵隊が駐留している。アメリカがアジア太平洋地域の支配権を中国に譲るのではないかと恐れた日本やインドを含む同盟国が希望し、当時のオバマ政権が応えたものだ。今回の新施設建設の動きは、近海での中国の台頭と、アジア太平洋地域の戦略的に不安定な状態を意識したもので、地域におけるアメリカの存在と同盟を強化する意図があると専門家は見ている(アジア・タイムズ)。

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Text by 山川 真智子