NASA、なぜ原子力推進宇宙船の実証開発にロッキード・マーチンを選定したのか?

Lockheed Martin / flickr

◆原子力推進宇宙船の実証開発の内容
 原子力推進宇宙船の実証開発の内容は、宇宙での原子炉の稼働と高分析低濃縮ウラン(HALEU)燃料の使用に焦点が置かれるという。NTPエンジンによる宇宙船の姿勢・軌道制御などの性能よりも、原子炉に関するデータ収集が主なミッションとなるようだ。原子力推進宇宙船は地球から高度700~2000キロの宇宙空間に打ち上げられ、実証期間は、NTPエンジンに使われる液体水素の搭載量の関係で、数ヶ月間程度だという。宇宙飛行実証は遅くとも2027年までに実施される予定だ。

◆原子力推進宇宙船の実証の安全性
 原子力推進宇宙船の実証開発において安全性面へはどのような配慮がなされるのだろうか。核が安全な軌道に到達するまで原子力推進宇宙船の原子炉は作動させない、開発実証が終了した後、原子力宇宙船を大気圏へと再突入させる前に放射性物質が許容レベルまで減衰したことを確認する、などの管理を行っていくという。

 人類がより遠くの深宇宙へと進出するために、原子力推進宇宙船は有効な手段の一つとなるだろう。NTPエンジンには、液体水素が不可欠であるため、液体水素を宇宙のあらゆる場所へと輸送する宇宙船や貯蔵するシステムなどの開発も急務のようだ。ロッキード・マーチンは、ブルーオリジンが設計している月面ランダーへ液体水素を補給するための輸送機についても開発しているという。(スペースニュース)

Text by 齊田興哉