あなたが知らない「定年後の危険」 定年前からの“準備”がカギに

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◆預金があるのに「お金が足りない」
 「老後の生活資金は2000万円必要」といった数字が独り歩きして久しい。しかし、本当に怖いのは、「お金が足りないこと」ではなく、「お金の使い方を誤ること」だ。

 定年後、まとまった退職金や年金が入り、油断してしまう人は少なくない。高額な買い物をしてしまったり、子や孫への援助を惜しまなかったり。だが、毎月の生活費、介護や医療費、住宅の修繕費、さらには物価上昇まで見越しておかないと、気づいたときには資産が大きく目減りしていることもある。

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 特に注意したいのが、「見えない出費」だ。たとえば、人付き合いのための交際費や、なんとなくの習い事、つい手を出してしまう金融商品。情報が氾濫する時代にあって、「いい話」に飛びついた結果、詐欺まがいの投資で資産を失うケースも増えている。

 また、「貯金があるうちは安心」という油断が、自立心の低下や無駄遣いにつながる。老後資金は「持っていること」より「使い方を計画できること」が重要なのだ。

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Text by 切川鶴次郎