あなたが知らない「定年後の危険」 定年前からの“準備”がカギに

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◆夫婦関係が一気に悪化する
 もうひとつ見落とされがちな危険が、「定年離婚」という言葉に象徴される夫婦関係の崩壊だ。現役時代は仕事中心だった夫が、突然家にいるようになり、妻にとっては「生活リズムを壊される存在」になることがある。

 朝から晩まで一緒にいる時間が増えることが、逆にストレスになる。お互いにどう接すればいいかわからない。もともと会話が少なかった場合、そのギャップはなおさら顕著だ。特に、退職した夫が「自分は家で静養していて当然」という態度を取ると、妻側に強い反感を抱かれることがある。

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 近年、長年連れ添った夫婦でも定年後に離婚を選ぶケースが増えている。その原因の多くは、夫が「自分の時間を邪魔された」と感じるのではなく、妻が「もうこれ以上一緒にいたくない」と感じることにある。定年は「お疲れさま」ではなく、「これから夫婦関係の再構築を求められるスタート」でもあるのだ。

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Text by 切川鶴次郎