仏、中学生の飲酒喫煙が減少 パンデミック以降 成人とは逆に

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◆飲酒・喫煙は社交ツール
 今回発表されたOFDTの調査によれば、2021年の調査時点で過去1ヶ月間にアルコールを摂取した中学4年生は31.8%と、過去11年で最も低い数値であった。飲酒経験のある中学4年生は64.1%で、2018年の75.3%と比べて減っている。同じく喫煙経験者も2018年の37.5%から2021年には29.1%に減少した。もっとも、喫煙経験のある中学生の割合は2010年には51.8%だったことからわかるように、ここ10年減少傾向にあったのだが、OFDTのジュリアン・モレル ダルルー氏はパンデミックがこの「減少傾向に拍車をかけた」とコメント。パンデミックが原因でパーティーなどの社交的な集まりが減ったためだと分析している。(ル・ポワン誌、1/12)

◆大人にとってはストレス発散の手立て
 だが付き合いが減るという同じ状況は、大人には真逆の効果を生んでいる。実際、フランス健康局が発表した調査も、YouGovが2021年10月に発表した調査も、フランスの成人の飲酒量がパンデミック以来増えたことを示しているのだ。喫煙に関しても、フランス健康局の調べによれば、日常的喫煙者の割合は過去数年間減少傾向にあったが、2020年に増加に転じている。反タバコ同盟のジョスラン会長は、この原因を、パンデミックによる不安とストレスによるものと見ている(BFM TV、2021/5/31)。

 これらの違いから、大人にとってストレスのはけ口になり得る飲酒や喫煙も、未成年者にとってはソーシャライズの手段であることがわかる。

 とはいえ、飲酒・喫煙の減少だけで新型コロナが未成年者に恩恵をもたらしたとするのは早計で、パンデミック以来、子供の自殺未遂が増えたという報告もある(ル・モンド紙、2021/5/17)。飲酒や喫煙をストレスのはけ口にできない分、子供は極端な行動に走る傾向があるのかもしれない。

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Text by 冠ゆき