封鎖社会で人々はどのように励まし合うのか? 国を超えて共通点

自宅の窓際で歌を披露したパリ在住のオペラ歌手ステファン・セネシャル氏|Francois Mori / AP Photo

 新型コロナウイルスの感染拡大を防ごうと、世界各地で都市・地域・国ごとの封鎖が行われている。日本でも、感染速度が緩まない限り、封鎖措置が取られる可能性は捨てきれない。封鎖社会に置かれた他国において、市民は連帯感を確保するためどのような行動にでるのか。また外出制限・禁止という精神的重圧をどう軽減しようとするのか。よく見ると、歴史も文化も異なる人々の行動に共通点が多くあることがわかる。

◆「動」による連帯感の共有
 3月17日正午から外出制限令が施行されているフランスでは、その日の夜20時から5分間、窓際でいっせいに医療従事者を讃える拍手をしようという運動 #OnApplauditが始まった。この動きはSNSを通して瞬く間にフランス全土に広がり、20日からは、エッフェル塔も20時から特別イルミネーションで参加し始めたほどだ。さらに27日からは「Covid-19との闘いに参加する人すべてへの敬意を表し、感謝の言葉と、家にとどまるようにというメッセージを20時から23時まで点灯」している(ラジオ局RFI)。

 現在も毎晩繰り返される5分間の拍手運動だが、その始まりは実はフランスではない。テレビ局LCI(3月18日)によれば、呼びかけ人のひとりバンジャマン・ヌヴェールは「中国、イタリア、スペインであった同様の運動にインスピレーションを得た」と明かしている。この動きはその後、ベルギーなどヨーロッパ諸国のみならず、ラテンアメリカの国々にも広がっている。

 3月26日から夜間外出禁止令が施行されているアラブ首長国連邦では、30日夜、住民がいっせいに国歌を歌い、Covid-19対策の労を取る人々への感謝と連帯を示した。国歌は連帯感を共有するのに格好の道具だ。実際、3月9日から全国的な外出制限が施行されているイタリアでも、ごく初期に、窓を開けて国歌を歌う市民の姿が報道されていた。

Text by 冠ゆき