オミクロン株、感染力の強さを警戒すべき理由

Matt Dunham / AP Photo

◆ワクチンの効果だけでは不十分
 安心できない理由はそのほかにもある。何よりも、オミクロン株に対するワクチンの効果が落ちるとみられることだ。14日に発表された南アフリカの調査研究によれば、2度のファイザーワクチンの接種が、オミクロン株の感染を予防する効果は33%のみで、80%とされたデルタ株感染予防効果と比べかなり低い。ただし入院を予防する効果は70%あるとされ(フランス24、12/14)、ワクチン接種に意義がないわけではない。

 そのワクチン接種も、必要回数を完了した人は世界的にはまだ46.55%しかいない(Our World in Data、15日時点)。さらに、世界水準から見れば高い欧州のワクチン接種率でさえ安心できる数値ではないとみられている。たとえば71.6%が必要回数の接種を完了しているフランスだが、13日時点で60歳以上のワクチン未接種者は145万人を数える。もしこれらの未接種者の一部にでも感染が広がれば、病床の逼迫を引き起こす可能性はかなり高いと考えられている。

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Text by 冠ゆき