毎日お風呂に入る必要はない? 洗いすぎは悪影響と米専門家

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◆文化や社会的ルールのせい? 健康とはほぼ無関係
 毎日の入浴について、ハーバード大学医学部のロバート・H・シュマーリング准教授は健康面で大きな意味があるとは思えないとしている。同氏によると、アメリカ人の約3分の2、オーストラリア人の80%以上が毎日シャワーを浴びているが、中国の調査では半数が週に2回しか入浴しないと回答。毎日のシャワーは健康のためというより、習慣や社会的規範によるもので、そのために国によって風呂やシャワーの頻度が大きく異なるのではないかとしている。(ハーバード・ヘルス・パブリッシング、以下HHP)

 毎日シャワーを浴びる理由の一つに「体臭が気になる」というものがあるが、これは文化によっては人間関係や仕事に支障をきたす可能性があるからだと同氏は説明する。また、清潔にする習慣というのは、マーケティングの影響も大きいとする。たとえば、シャンプーのボトルには二度洗いを勧める文言がよくあるが、これは消費者がこの指示に従ってくれたほうが商品が売れるからだと指摘している。(同)

 この議論には階級や人種のステレオタイプが絡んでいると指摘する声もある。ある黒人の雑誌編集者は、黒人や移民は不潔というイメージで捉えられがちで、「社会に出るときは否定的に評価されないように最善の努力をしなければならないという大きなプレッシャーがある。良好な衛生状態を示すことはその一つである」と述べている(allure)。

◆むしろ健康に悪い? 毎日入浴の問題点
 シュマーリング氏は、毎日の入浴は健康への害があると述べる。正常な肌は皮脂膜と善玉菌やその他の微生物によって健康に保たれている。しかし熱いお湯で洗ったりこすったりすると、これらが除去され、乾燥、炎症、かゆみの原因になるという。さらに乾燥してひび割れた皮膚は、感染症やアレルギー反応を引き起こす可能性もあるとしている。また、私たちの免疫系は正常な微生物や汚れにさらされるなどの刺激を受けないと感染防御抗体や免疫記憶を作ることができないため、小児科医や皮膚科医のなかには子供の毎日入浴を推奨しない人がいるという。(HPP)

 もっとも、多くの医師が皮膚のトラブルを引き起こさない程度での毎日入浴は問題ないとしている。どの程度洗えばよいかというと、シャワーなら脇、股間、顔などに集中して3~5分でよく、泥汚れなどがない限り、全身をこする必要はないという。洗髪については、脂性でない限りは週に2、3回でよいということだ。(健康情報サイト『WebMD』)。

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Text by 山川 真智子