日本が参加しない「消えた子供の日」国際デー

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◆日本では何人が行方不明に?
 では、GMCN非加盟の日本の状況はどうだろうか? 警察庁が昨年7月にまとめた「令和元年における行方不明者の状況」によれば、平成27年から令和元年の5年間で、行方不明者として警察に届け出があった未成年者の数は、毎年平均1万7000人以上を数える。諸外国と比べると少ないかもしれないが、無視できる数ではない。

 一方で、日本では、別居時一方の親に無断で子供を連れ去っても、通常実子誘拐とみなされないので、その数は上の統計には入っていない。ちなみに、連れ去られた側の親が子供を連れ戻した場合は、罪に問われることが稀ではない。また、監護権を持つ親が、面会権をもつ他方の親との子供の面会を拒否しても、フランスのように直ちに「実子誘拐」とみなされることはない。これは、日本が、離婚後、父母のいずれか一方にのみ親権を認める単独親権制度をとっていることと無関係ではないだろう。日本以外の先進国では、離婚後も父母双方が共同親権を持つのが通常だ。この日本の「特異さ」は、すでに国際問題にも発展している。国際結婚の破綻にあたり、日本の論理で実子を誘拐する日本人親が絶えないからだ。

◆毎年15万人の子が失う親との縁
 だがもちろん、問題は国際離婚に限られるわけではない。厚生労働省がまとめた人口動態統計によれば、2016年の日本の離婚件数は21万6798組。そのうち12万5946組が未成年の子がいる離婚件数であった。親が離婚した未成年の子は、21万8454人を数えた。東京国際大学の小田切紀子教授は、これらの子供のうち「3分の2は、もう連れ去られた側の親と会うことはない」(東洋経済)としており、絆を絶たれた側からみれば、毎年15万人近くの子供が「消えて」いることになる。

 5月25日、「消えた」子供たちのさまざまな事情や背景を思い起こし、残された家族をケアする日。日本にも必要ではないだろうか。

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Text by 冠ゆき