菅政権に期待できるのか? EUが自問する「日本の子供拉致」問題

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 日本の首相が約8年ぶりに交代したことで、EUでは、日欧間で膠着していた話し合いの進展に期待する向きがある。とくにこの夏浮上した「日本への子供連れ去り問題」が再び注目されている。

◆子供の連れ去りとは
 ここでの「連れ去り」とは、片親がもう一方の親の承諾なく実子を居住地から別の場所に連れ去ることを意味する。日本の外務省サイトの用語は「連れ去り」だが、海外では通常「拉致」や「誘拐」と訳される用語を用いている。また、外務省サイトでも「不法な」と形容されているが、海外の複数国において「実子連れ去り」は刑事犯罪である。

 国際結婚はこの50年ほどで世界的に増加した。日本人と外国人間の国際結婚も1980年代後半から急増し、2006年には年間4万4701件、全婚姻数の6.1%というピークを迎えた。国際結婚増加に伴い、増えたのが国際離婚だ。その離婚の際、一方の親がもう一方の親の同意を得ずに子供を自分の母国に連れ帰り、もう一方の親に会わせないといった「子の連れ去り」が問題視されるようになった。

Text by 冠ゆき