菅政権に期待できるのか? EUが自問する「日本の子供拉致」問題

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◆日欧間だけではない子供の拉致
 子供の拉致問題は、日欧カップルだけの問題ではない。国際離婚で起こりやすい問題を挙げる『ル・フランセ・プレス』は、同じ欧州内においても、片方の親がドイツ人であるとき、監護権の問題が発生しやすいことなどを指摘している。

 また、日本国内における日本人同士の離婚でも、上に挙げた単独親権が原因で、子供とのつながりを絶たれる親は多い。「日本では6人に1人の子供が片方の親とのコンタクトを完全に失う結果」(フランス2)となっている。フランス2のドキュメンタリーは、そうした日本の親を支援するNGO団体の様子もレポートしている。

◆守るべきは子供の利益
 子供と引き離された親の嘆きには身につまされるものがあるが、ハーグ条約および児童の権利条約に立ち返り、諸々の判断の根拠としなければならないのは、子供の利益、不利益である。

 たとえば2、3歳で日本に連れ去られた子供を例に考えてみよう。その子供は、どんな不利益を被り、何を失うのか? まず、生活環境が急激に変わることで起こる諸々の負担。失うものはさらに多い。会えなくなった親や親戚から注がれるはずだった愛情を直接感じる機会を失くす。元にいた国の友人との交流、そこから得られるはずだったものすべて。獲得するはずだった言語、文化、風習、価値観、経験、そのすべてを失うことになる。言ってみれば、自分のなかにあるもう一つの国の人間というアイデンティティそのものを失くす恐れがあるのだ。

 ハーグ条約が守ろうとしているのは、子供の権利なのである。親の都合ではなく子供の利益を優先させること。これを国際条約で定めた意義は大きい。その根底を忘れてはならない。

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Text by 冠ゆき

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