「動物虐待」生きた馬の日本への空輸、輸出国で反対の声 馬肉文化にも厳しい目

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◆「虐待レベル」危険な空輸に批判
 そのようななか、最近活動家が撮影したビデオなどにより、空輸時の劣悪な馬の扱いが一般の目にさらされることになった。実際の現場を確認したジュディス・サムソン・フレンチ獣医師によれば、馬たちは数頭のグループにされ、木製のクレートに詰め込まれる。横になるのも困難な狭いクレートからは、馬たちの蹴り音が聞こえるという。重心の高い馬をクレートに入れて航空機で輸送するのは危険な行為だと同氏は指摘している。これまでに、動揺した馬の脚がクレートを越え機内の壁を蹴って穴をあけ、航空機が緊急着陸する事件が起こっているという。また、日本到着時に激しく衰弱したり、死亡したりしている馬が発見されている。(ガーディアン紙)

 動物愛護団体「Canadian Horse Defence Coalition(CHDC)」の関係者は、動物の輸送に関する規則があるにもかかわらず、それが守られていないと断じる。競走馬なら輸送の際に丁重に扱われるのに、食肉用の馬が劣悪な扱いを受けるのは問題だとしている。屠殺される予定で輸出された馬の多くは食肉用として飼育されているが、農場などから食肉用に回されてきた馬もいる。人間とともに暮らし、伴侶となってきた彼らの人生が外国の屠殺場で終わるのは、悲劇であり心が痛むことだと述べている(カナダのニュースサイト『Daily Hives』)。

 前出のサムソン・フレンチ氏は、馬は輸送のための訓練や調整を受けておらず、危険を察知すれば駆け出し逃げようとする動物で、家畜のようには扱えないとする。人道的、生態的観点から馬は輸送に適していないという見解だ。動物は育った場所で屠殺されるべきで、悲惨な輸送を経て海の向こうで殺される存在ではないとしている。(カナダのテレビ局CTV

◆馬は友達 日本の馬肉文化に厳しい視線
 カナダでは、CHDCなどの団体が何年も前から食肉用の生きた馬の輸出に対する反対運動を行っているが、同時にカナダ国内での食肉用の馬の屠殺の禁止も求めている(ガーディアン紙)。もともと馬肉は世界各地で食べられているが、馬は賢く美しい動物、人間のために働く良き仲間というイメージが強いのか、馬肉を食べること自体を快く思わない人も多いようだ。ビジネスインサイダー誌によれば、イギリス、アメリカでも馬肉を食べることへの抵抗は強いという。

 いまのところ、食肉用の馬の輸出に関しては、輸出国の対応のまずさを批判する報道がメインだ。しかし、記事には「日本は『馬刺し』のような珍味の人気に応えるため、輸入した馬を屠殺するまで1年肥育する」(ガーディアン紙)、「最も物議を醸すのは、(カナダの)業界がアジアの新鮮な生の馬肉への欲求を満たしていることだ」(CTVニュース)、「輸出された馬が屠殺され寿司になっている」(Daily Hives)などといった記述もあり、日本の食文化への不満が読み取れる。日本は鯨肉でも大きく批判されてきただけに、動物愛護の視点が馬肉に飛び火する可能性もある。

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Text by 山川 真智子