突然の「残業代帳消し」「契約終了」…コロナで失業したスイスで働く日本人たち

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 新型コロナウイルス感染は、多くの人々の生活を変えた。失業したために自分の存在意義が大きく揺らぎ、生きている意味がないとまで考える人も世界的に増えているようだ。

 スイスでは、ある自治体が提供するこころの相談に、今春のロックダウン中に失業した人、とくに飲食業界で働いていた人からの相談が増加した。担当の精神科医によると、多くの相談者が先の見えない経済状況を不安に感じ、失業したことを恥ずかしく思っていた人もいたという(スイス放送協会)。また、コロナ禍のなか、高齢者も鬱的な状態になり、自分にはもう価値がない、自分はもう必要とされないと感じて自殺願望を持つと、ある高齢者サービス組織のスタッフは説明する(Tele 1)。

 海外に住む日本人のなかでも、コロナ禍で厳しい状況に追い込まれた人たちがいる。スイスに住む40代の美月さんと緑さん(ともに仮名)の経験を紹介しよう。2人はそれぞれの立場で、見えない未来に向かって希望を失わずに歩んでいる。

Text by 岩澤 里美