アフリカの新型コロナ、このまま少ない感染で終わるのか?

検査の列に並ぶ警察官(南アフリカ、5/7)|Themba Hadebe / AP Photo

◆アフリカ人には免疫がある?
『フュチューラ・サンテ』によれば、イギリスの国民保健サービスNHSとキングス・カレッジは、マラリア罹患率とCovid-19罹患率が反比例にあることを共同で発表し、「クロロキンなどを使うマラリアの予防治療が(新型)コロナウイルス予防として働いたとも考えられると説明する」。実際、WHOによれば、世界のマラリア疾患の93%はアフリカで記録されている。

 また、プレプリントサーバーの「medRxiv」に3月28日に発表された研究を基に、「アフリカでのBCGの体系的接種がアフリカ人の免疫を説明するのではないか」(フュチューラ・サンテ)と考える向きもある。「イタリアやアメリカのようなBCG ワクチンが行き届いていない国は逆にCovid-19感染被害が大きい、と著者らは述べる」(フュチューラ・サンテ)。しかしながら同誌も念を押すように、これらはいずれもいまのところ仮定の域を出ない説である。

 20 minutes紙(5/13)は、「アフリカ人は、寄生虫、ウイルス、細菌を原因とするさまざまな病理の攻勢を受けてきた。そのため、免疫システムが(中略)よりよく反応する可能性もあるのではないか」とするカメルーンのパスツール研究所カーニエル所長の言葉も紹介しており、疫学を専門とするヤップ・ブーム氏も同意見である。

◆若さという盾と、川崎病
 アフリカの人口の若さは数値で見ると圧倒的だ。25歳未満が人口の60%を占める。ちなみに、日本では25歳未満が占める人口の割合は21.9%に過ぎない(17年9月時点)。フランスでは、Covid-19を理由とする死者の92%が65歳以上である(20 minutes紙 5/13)ことや、イタリアの死者の平均年齢が80-81歳であること(イタリア厚生省サイト)を考えると、若さが何よりの盾だという考えには説得力がある。

 ただ、ここにきて気になる例が報告されはじめた。ル・モンド紙(5/14)によれば、3月1日から5月14日までにフランス国内で報告された川崎病似の症状を呈する子供の数は135人。通常であれば、月に平均1人報告される疾患だが、新型コロナウイルスが広まってから急増し、一時期は1日3人の報告が続いた(マリアンヌ誌 5/5)。患者のほとんどは「SARS-CoV-2とのコンタクトがあり」、「多くは、アフリカかアンティル諸島出身」である(ル・モンド紙 5/14)。イギリスも同様で、最初の観察研究対象となった8人の子供のうち6人は、アフロ・カリビアン系の子供だったという(20 minutes 5/15)。ヨーロッパ疾病予防センター(ECDC)によれば、ヨーロッパで報告されているケースは現在230人(20 minutes 5/15)と、決して多くはない。しかしながら、いまのところアジアでは同様の報告がないことを考えると、黒人の遺伝子を持つ子供への影響がとくに大きい可能性も捨てきれず、だとすれば、アフリカ大陸も今後に備える必要が出てくるだろう。

Text by 冠ゆき