アフリカの新型コロナ、このまま少ない感染で終わるのか?

検査の列に並ぶ警察官(南アフリカ、5/7)|Themba Hadebe / AP Photo

◆早期感染防止対策の明暗
 アフリカ大陸の感染防止対策の動きは、実際、かなり早く始められた。2月22日にはすでにアフリカ連合加盟国の厚生相会議がアディス・アベバで開かれ、新型コロナウイルス対策の呼びかけがなされたし、ロックダウンや、夜間外出禁止令、国境封鎖などの措置はごく初期から取られた(20 minutes 5/13)。またCovid-19のテストを実施できる施設も、世界銀行(4/3)によれば、当初はダカールと南アフリカの2ヶ所しかなかったが、それぞれ早くも1月からすでに準備を始め別の研究所の訓練を施したという。その結果、現在は48ヶ国で検査実施が可能となっている(ル・モンド紙 4/3)。

 しかしながら、ル・モンド紙(5/14)が報道するように、アフリカ大陸が有する療養病床はいまも6000床のみで、マスクや防護服も不足。テストキットも人口1万人につき9つという不十分な数で、麻酔科など専門科医も不足している。また早期対策として取られたロックダウンは、ケニア、リベリア、南アフリカなどで暴力的な反応を引き起こしており、経済的打撃の大きさも加わって、維持することの難しさがうかがえる。

◆人口密度と外部との行き来
 アフリカ大陸の人口密度は「1平方キロメートルあたり43人。西ヨーロッパが181人、東南アジアが154人」(フュチューラ・サンテ)、日本が335人であることと比べても非常に低い。しかしながら、都市によっては人口が過密気味で、ナイジェリアのラゴスや、コンゴ民主共和国首都のキンシャサ、エジプトのカイロ、スーダン首都のハルツームなどは、東京よりも密度が高い。

 人の行き来の少なさについては、ヨーロッパやアメリカと比べ観光客が少ないことを考えれば頷けるであろう。それに加え、中国やインドのように仕事や学業で海外に飛び立つ者も多くないため、帰国者の数も少ないことを『フュチューラ・サンテ』は指摘している。とはいえ、中国と密接な交流を持つ国も複数あったことは、上に述べた通りである。

Text by 冠ゆき